ミオ 「せっかくうちにくるなら、ここで起きていることは100%理解できたほうがいい」という上の人の判断で。技術は見て勉強できるので、旅館時代もいろいろ体得していたと思いますが、ただなぜそうなるかという細かい話を100%理解できてなかったと思うんですよ。

 お茶は、京都から来てくださっていた木村宗慎先生に師事しました。「西入る」の書を書いてくださったのも、木村先生です。

 

「海外における日本料理の調理技能認定制度」でゴールド認定を取得

――「六雁」のあと、京都へ移住されていますが、どのあたりから京都に行こうと思われるようになったのでしょうか。

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リカルド 懐石料理の食材のほうからです。

――どういった食材ですか?

リカルド 筍とか、海老芋とか、聖護院蕪とか、賀茂茄子とか。あと、白味噌も。だいたい全部です。だから、京都に行かなければいけないんだと思いました。懐石料理(の歴史)も、京都からスタートしました。

ミオ 「六雁」の初代料理長でディレクターをされている方がもともと京都におられた方で、リカルドがいずれ京都で働きたいという話をしたら、「外国人を対象にした日本料理の調理技能検定を受けてみたら」と仰ってくださって。これに受かったら、京都に行ける道が開けるかもって。 

――すみません、そのような検定があることを、勉強不足で知らなくて。京都で受験されたんですか?

ミオ 京都が試験会場なのです。京都の「日本料理アカデミー」が、外国人の研修生を受け入れる体制をつくってらして、京都で修業されている外国人が多く、東京から受験するのはそのときのリカルドがおそらく初めてで。

 推薦状とか、事前の申し込みもハードルが高くて、それを「六雁」のディレクターが全部準備してくれて、申し込みもしてくださって、現地では筆記テストと、2時間で松花堂弁当とお椀を2人前つくるっていう実地テストがあるんです。

――食材は事前に知らされるんですか?

ミオ 食材リストはあらかじめいただいて、事前にどんなものをつくるかメニューを提出して、当日は2時間で完成できるように、3カ月間練習しました。

――審査のポイントは?

ミオ 2時間以内に作業が終わっているか、食材をまんべんなく使っているか。あとは松花堂弁当はこうあるべきというルールが、お造りはここにあってとか、日本人ですとなんとなくわかりますよね。外国人シェフのみなさんは、しっかりと認識していないと、つくれないんですよ。なのでそれをずーっと、ずーっと練習して。

 それでね、ゴールド、シルバー、ブロンズというランクのうち、無事にゴールド保有者に認定されました。

手に持っているのがゴールドメダル

――最高ランクということですか。

ミオ ブロンズは講習を1時間受ければ取得できるのですが、ゴールドは、日本人が料理長の日本料理店で最低2年(当時)は勤めていないといけない。それ以外にも、こういう知識を持ってなきゃいけないなど、ばーっとリストがあるんですけれども。