――条件をクリアしていないと、受験もできない。

ミオ この検定自体が非常に限られた人しか受けられないんですけれども、ゴールド保有者のうち、ポルトガル人はリカルドだけで、ヨーロッパでも3人くらい。台湾とか韓国とか、アジア圏の方が多くて、(ゴールド保有者は)世界で25人くらいだと聞いています。

――そのうち日本で開業されている方は。

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ミオ 資格を取得したあと、自分の国に帰って独立されている方が多いです。日本で開業しているのは、おそらくリカルドだけじゃないかなあ。

©志水隆/文藝春秋

コロナ禍で予定が白紙になり、縁あって青山の日本料理店へ

――京都への道につながりましたか。

リカルド すぐにコロナがきました。

ミオ ちょうどコロナ禍に突入して、京都でここはどうだろうと思っていた話が、外国人を受け入れるどころじゃなくなって一旦白紙になったんですね。「六雁」を辞めることはすでに決まっていて、1カ月くらい仕事をしていない時期があったんですけれども、その間はもう家で毎日毎日、毎日毎日料理の練習をして、「腕を持て余しているわけにもいかないのでどこかで仕事をしたい」と相談したのが、(青山の日本料理店)「てのしま」の林(亮平)さんです。

――林さんは京都の「菊乃井」ご出身ですよね。リカルドさんは「てのしま」でも働いてらした?

リカルド はい(うれしそうに)。

ミオ 「六雁」が豊洲で世界料理学会を主催したときに、パネリストとして登壇された料理人のひとりが、林さんでした。その後、「てのしま」で研修したい人はいないかって「六雁」の料理長に話がきて、リカルドが「すごく行きたいです」って立候補して。

リカルド 勤務時間の前に、週3、4回くらい。朝に働きに行っていました。

 

――すごい、ガッツ溢れてますね。

ミオ 2020年の10月に京都に移るまでの4カ月くらい、「てのしま」さんで働かせてもらいました。コロナ禍でたいへんなときだったのに受け入れてくださって、林さん夫婦は私たちにとってのメンターです。