「開始○○分に衝撃の展開!」

 と観客を煽る見慣れたキャッチコピー。もはや定型化し、実際にはさほど驚かされないことも……。だが、ディズニープラスで配信中のドラマ『パラダイス』に限っては全く以て言い過ぎではない。

 名作として名高い『THIS IS US』の原案・脚本・製作総指揮を務めたダン・フォーゲルマン、同作に出演した実力派俳優スターリング・K・ブラウンが主演を務め、再びタッグを組んだ本作。物語は米国の上流階級が暮らす閑静な住宅街から始まる。主人公のザビエル・コリンズは大統領を警護するシークレットサービス。午前8時前、いつも通り大統領が暮らす邸宅に入り任務に就く。だが、何かがおかしい。寝室をノックしても返事がない。部屋に入ると大統領が頭から血を流し倒れていた。すでに絶命している。ここまでドラマ開始から僅か10分。だが、序の口。このドラマに待ち受ける“衝撃の展開”はまだまだ先だ。

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©佐々木健一

 ザビエルは自分を取り立ててくれた恩人である大統領の死に動転しつつも現場に目を凝らし、遺留品や状況から何が起きたかを探る。そして、

「黙って30分、敷地内を封鎖しろ。これ以上質問するな」

 と部下に告げる。陰謀の臭いを感じ取った彼は急ぎ、監視カメラの映像を確認する。すると昨晩、最後に大統領と会った人物はなんとザビエル本人だった。彼は大統領の殺害現場の第一発見者でもある。彼に疑いの目が注がれる。ここまでドラマ開始から25分。怒濤の展開の連続だ。だが、全ての監視カメラ映像が夜中に2時間ほど停止していたことが判明する。何者かが侵入した? 封鎖が解かれ、捜査が始まる。ザビエルが暗殺容疑者として疑われ、警護の任を解かれる。

 そして、開始から45分。第1話のラストに想像のナナメ上を行く“衝撃の展開”が訪れる。それは是非、自分の目で確かめて欲しい。全8話、一時も目が離せない傑作だ。