そして今春、アディダスは〈EVO 1〉の後継モデルとなる〈ADIZERO ADIOS PRO EVO 2〉(以下EVO 2)を発表した。次世代フォームテクノロジーを前足部に3mm増量して、エネルギーリターンが5%向上したという。アウトソールのグリップパターンも新しくなるなど、前作よりパワーアップ。重量は、前作と同じ138g(27.0cm)で、価格も同額の8万2500円(税込)だ。
なお発売開始は5月30日の予定。アディダスサイトでは、adidasアプリでのみ購入できる限定商品で、ひとり1点のみ(返品不可)。前モデルの実績を考えると、〈EVO 2〉の即完売は必至だ。
ただ、前述したようにアシックスが129gの〈RAY〉を3万3000円(税込)での投入を控えており、何を買うべきか悩むランナーも多いにちがいない。
あるサブ3レベルの市民ランナーは興奮気味に話した。
「〈RAY〉は〈EVO 2〉より軽くて、半額以下。バカ売れするんじゃないですか」
筆者も〈RAY〉も履いたが、控え目に言って「すごい」のひとこと。軽さに驚くが、とにかく弾む、弾む。ただ、安定感を欠く印象もあり、人によっては走りの制御が難しいかもしれない。
2024年12月期の決算で、営業利益・営業利益率・純利益のいずれも過去最高を更新したアシックス。〈RAY〉を履いて爆走するランナーが出てくれば、同社が主要な大会の国内シェアの“トップ”を奪うだろう。
今年は9月に東京世界陸上が開催され、26年正月にはまた箱根駅伝がやってくる。アシックスの〈RAY〉がどのような“評価”を受けるのか注目したい。
スポーツライター
1977年、愛知県生まれ。箱根駅伝に出場した経験を生かして、陸上競技・ランニングを中心に取材。現在は、『月刊陸上競技』をはじめ様々なメディアに執筆中。著書に『新・箱根駅伝 5区短縮で変わる勢力図』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。最新刊に『箱根駅伝ノート』(ベストセラーズ)
