『森永卓郎流「生き抜く技術」 31のラストメッセージ』(森永卓郎 著)祥伝社

 ステージⅣのがんで余命宣告を受けながらも仕事への意欲を失わず、今年1月に逝去した著者。亡くなるわずか3週間前まで書き続けたという本書が若い世代を中心にヒット中だ。

「最初はお金を中心に人生の後始末について書いてほしいと依頼したのですが、気乗りしない様子でした。そこで方針を転換。著者は獨協大学で20年ほど教鞭を執っておられたこともあり、『若い世代に向けて幸福な人生を送るコツを』と再アプローチしたところ、わずか半月ほどで原稿が届きました。そのスピード感もさることながら、想像以上にポジティブで未来志向の力強い内容に驚きました」(担当編集者の大森勇輝さん)

「お金」「仕事」「人生」の3章立てで、31のメッセージが並ぶ。投資や年金制度に対する主張のみならず、自身が体験した出来事から導き出した幸福論をユーモアたっぷりに綴っている。各エピソードに添えられたイメージイラストも楽しい。

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「ミニカーのコレクションをはじめ、著者は趣味の世界にも情熱を注ぎました。そういった遊びの部分も書いていただけたことで、著者の人柄が伝わったと思います」(大森さん)

 類書が少ないこともあり、書店の著者の追悼コーナー等で、パネルやポップの要望が多かった。学生や20代の読者から、背中を押されたという声が届いているという。

2025年3月発売。初版2万部。現在3刷6万部(電子含む)