「駅を出る」独自の進化も…駅そばたちの反撃が始まった
復活を果たした「駅そば」は、遠軽だけではない。
先に述べた東北本線・小山駅にあったきそばは、2022年1月にホーム店舗が閉店して9カ月後に、東武伊勢崎線・足利市駅前に独自の店舗を開業した。ほか宇都宮・小山の実店舗やキッチンカーでの販売や通販もあり、食べる機会はむしろ増加している。
きそばは、麺・出汁ともに印象に残る独特なもので、ホーム上の店舗消滅が発表された頃から「店が変わっても食べに行きたい!」という声が相次いでいた。「駅そば」が駅を飛び出し、ファンの支持を得て普通のそば店に転生したパターンだ。
2025年5月には、小山駅コンコースで2日間限りの復活販売も行った。製造販売を手掛ける中沢製麺の中澤健太社長によると、各日200杯が完売、お土産・物販もほとんど完売するほどの人気ぶりで、訪れた人々からは「久しぶりに小山駅で食べることができて嬉しかった」といった声も多く聞かれたという。小山駅で、きそばが復活する可能性が出てきたといえるかもしれない。
根岸線・桜木町駅の「川村屋」も、2023年3月に店主・従業員の高齢化で閉店した際に、惜しむ声があまりにも多く、半年後に親族が継ぐ形で営業を再開した。以前と同じ場所、同じメニュー、同じ出汁の味をキープしつつ、1969年から半世紀以上も続く駅そば店を受け継いでいる。
もちろん、姫路駅の「えきそば」のように、多くのファンと乗換客に支えられつつ、盛業を保つ駅そば店も多い。「乗り換えを急ぐ利用者に素早く、サッと提供」という特殊な環境から独自の進化を遂げているせいか、個性派が多い駅そばを目的に全国を巡ってみるのも、良いかもしれない。
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