「今、夫は彼女の支えもあり、少しずつ心の健康を取り戻していると思います。子どもたちには折々、昔の私の言動を心から謝っています。夫が不倫をしたことには私自身にも原因があり、離婚はどちらか一方のせいではなく、両成敗だと思っています。言葉の暴力の影響はとても大きい。でも、それに気づけた今、私はこの学びを無駄にしたくありません。失って初めて気づいたことは数え切れないほどあります。それでも私は、自分を責めすぎることなく、前を向いて生きていきたいと思っています」

 佐伯さんは、元国会議員の宮崎謙介さんが不倫をし、家族として再構築していく心情を、同じく元国会議員の金子恵美さんがつづった『許すチカラ』という本を読み、「価値観の違う者同士が結婚し家庭を作るとき、衝突の中から『許す』『尊重し合う』行為が出てきて、それが『愛』に変わるのではないか」と語る。

「子どもには子どもの人生があり、夫には夫なりの考えがあり、それを尊重していく。『完璧』や『こうあるべき』という理想を捨てることで、私自身も心が穏やかになることに気づいたんです。もしも今、夫婦関係で悩んでいる方がいたら、相手を変えようとするのではなく、深く理解することにエネルギーを注ぐことをオススメします」

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 自身が「機能不全家庭」で育ったという認識がある佐伯さんは現在、「ハラスメントの連鎖を止めたい」と考えている。

「息子には勉強の強要をしてしまいましたが、息子は『中学生のときお母さんと毎日勉強したよね? テスト前、夜遅くまで勉強させられて酷いなと思ったけど、高専の推薦とれたのはあれがあったからだよね』と言っているので、“苦い思い出”くらいの感覚かな? と思います。

※画像はイメージ ©graphica/イメージマート

 でも娘には、家から通える国公立の高校を志望するように言い聞かせたし、高校生の時は塾にも行かせてあげられませんでした。思春期の大事な時期に大好きなパパと別居してしまったし、ほぼ毒親認定されたこともあります。毒親、モラハラ、言い方は色々ですが、結局は相手を傷つける行為であり、相手が何歳であれ、耳を傾ける、立ち止まる、考えることが大切なんだと思います」