二つめのパッケージについても同様だ。牛乳やオレンジジュースなど、季節によって原産地が異なっているときに対応する方法をすでにメーカー側は実践している。以下のオレンジジュースの表示を見てほしい。

オレンジジュースの表示。賞味期限の下に原産地を表示している

 消味期限のスタンプのところに「ISR」とある。その下に原産国の説明が印刷されており、この商品のオレンジはイスラエル産ということがわかる。これであれば、その都度パッケージを印刷することなどなく、スタンプの改良だけで済む。

消費者庁も「国内製造」という表示に誤解が生じていることを認めている

 三つめの啓発に関してもおかしな話だ。消費者庁も「国内製造」という表示に誤解が生じていることを認めている。であるならば、誤解を生まない表示にすればいい。啓発が必要なほど複雑な表示にする必要などないだろう。

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 啓発に努めるというが、これだけ情報があふれている時代に、消費者庁の啓発が目に触れることはどのくらいあるだろう。広告や動画を作るということであれば、それ相応のコストもかかる。原資は私たちの税金だ。

 消費者庁の「令和5年(23年)度食品表示に関する消費者意向調査報告書」によれば、「食品表示がどのようなものか知っているか」という問いに対して、39.5%の人が「いいえ」と答えている(図2)。

図2 「食品表示がどのようなものか知っているか」という問いに対する回答。1 つ選択、n=10000(出典 消費者庁「食品表示に関する消費者意向調査」2024年3月)

 そもそも食品表示を知らない人が約4割いる中で、原産地表示の細かいルールを知ってもらうのは相当難易度が高いのではないだろうか。