農林水産省、そして自公政権による裏切り行為
農林水産省、そして自公政権による全国の農家への裏切り行為といっても過言ではない方針転換は、国会審議の場でも厳しく問われている。
立憲民主党の山田勝彦衆議院議員は、22年2月の衆議院予算委員会で次のように訴えている。
「すでに畑作を行っている農地に、再び水張りをするなんてあり得ない。そんなことをすれば大がかりな工事が必要になるし、あまりにも馬鹿げていて、もうみんなで農業をやめるしかない、という話ばかりしている。これは私の地元、長崎の農家の方々の声です。もう限界だという現場の声、届いているのでしょうか」
しかし、答弁に立った自民党の金子原二郎農林水産大臣は、農林水産省が用意した説明を淡々と繰り返すだけだった。
多くの米農家では膨らみ続ける赤字を前にしてこのまま米作りを続けるのか、それとも廃業するのかの決断を迫られている。続けるにしても、兼業で少しでも赤字を圧縮しながら細々と継続させている。
このままでは生産者はつぶれない程度の利益を得るだけの存在、小作人のようになってしまう。大元締めとなるのはモンサント(バイエル)に代表されるグローバル種子企業だ(詳しくは拙書『歪められる食の安全』)。
令和の米騒動
日本の農業の構造的な欠陥が明るみに出たのが「令和の米騒動」と称され、本書を制作している25年5月現在もなお解消していない米価格の高騰だろう。
実は日本の米はもう、4年前から足りていなかった(図3)。
ロシアのウクライナへの侵攻による食料供給の不安定化、肥料などの生産コストや人件費の高騰などアナリストたちがさまざまに原因を分析している。事情があったにせよ、皆さんはこの状況をどう感じているだろうか。私は強い焦燥感を覚えている。
今回の騒動の要因は、なによりこれまで述べてきたような日本が戦後取り続けてきた米農家への冷淡な政策だろう。
