水田が環境を破壊しているという暴論
遺伝子組み換えの種子と「ラウンドアップ」という農薬をセットにして販売し、世界の種子市場を席捲しようとしているモンサント(現在はバイエル)というグローバル種子企業がある。
アメリカやヨーロッパではラウンドアップの使用でがんになったとする市民からの訴えが相次いでおり、数万件を超える訴訟を起こされ、和解金は1兆円超と報道されている(BBC2020年6月25日ほか)。
苦境に立たされているはずのバイエルだが、起死回生のプランの矛先の一つが日本なのだと思わされる出来事があった。
24年1月にスイスのダボスで世界経済フォーラム(ダボス会議)が行われた。この会議は、非営利団体である世界経済フォーラムが毎年スイスのダボスで開催しているもので、世界中から政治家、実業家が集まる。理事には竹中平蔵氏やアル・ゴア氏が名を連ね、日本代表(代行)は、みずほ証券などを経た本田希里子氏である。24年はデジタル大臣である河野太郎氏やサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏などが参加した。
この会議で驚くような発言が飛び出したことを、東京大学の鈴木宣弘教授がレポートしている。
「アジアのほとんど地域では未だに水田に水をためる耕作が行われている。水田稲作は温室効果ガス、メタンの発生源だ。メタンは二酸化炭素(CO2)の何倍も有害だ」(バイエル社CEO)
「農業や漁業は『エコサイド』とみなすべきだ」(ある環境団体)
この発言をすんなり聞き流せる人はどのくらいいるだろうか。エコサイドとは「大量虐殺」を意味するジェノサイドにかけた言葉で、生態系や環境を破壊する重大犯罪のことだ。水田そのものが環境を破壊しているかのような発言に、私は激しい憤りを覚えた。
バイエルは日本でラウンドアップという農薬と自社が開発した種子をセットで売り込みたいという野望がある。そこをアシストしたのが自公政権だった。種子法が廃止され、農業競争力強化支援法が制定され、種苗法が改定された。食品表示のルール変更もその流れの中に位置づけられる。
