渋谷道頓堀劇場などでストリッパーとして活躍している宇佐美なつさん(32)。早稲田大学から新卒で外資系の大手コンサル会社に入社。順調にキャリアを重ね、「辞めずに働き続けていれば年収1000万円の可能性もあった」というほど順風満帆な会社員生活を送っていた。
しかし、宇佐美さんは3年で会社を辞め、ストリップ業界に飛び込むことになる。いわゆる“エリート街道”を歩んできた彼女は、なぜ安定した地位や年収を手放すことにしたのか。どんな経緯でストリッパーになったのか。宇佐美さんに、生い立ちから現在に至るまでの話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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「自分の人生が始まった」ストリッパーとしてデビューしたときの心境
――仕事を辞めてすぐにストリッパーとしてデビューしたんですか?
宇佐美なつさん(以下、宇佐美) 2019年6月末日付で会社を退職して、2019年7月11日に渋谷道頓堀劇場でデビューしました。
――初めてステージに上がったときの心境は?
宇佐美 ストリップは1日4回公演で、1つの興行の単位が10日間。なのでデビューステージそのものにそこまで大きな印象や感慨はなかったです。初めてのステージは終えたけど、その日だけでもまだあと3ステージある。多分、みなさんが想像されるよりは冷静でした。
ですが振り返れば……すごく大げさに言うと、デビューしたことで「自分の人生が始まった」とは思います。
それまでの私は、親や先生の期待に応えてばかりで、「自分はこれをやりたい!」と強く思うことがなかったんです。
合格した大学に入学して、採用された会社に入社して、上司に誘われたプロジェクトで仕事をして……流れに逆らうことなく生きていました。
でもストリップは、初めて自分の意思で選んで、親に嘘をついてまで始めた仕事だったので、踊り子としてデビューすることは自分にとっては未知の興奮がありました。




