「会社員時代とは違った仕事の喜びを感じます」ストリッパーになって激変した“仕事観”
――会社員時代に比べて、仕事への向き合い方は変わりましたか?
宇佐美 私にとって会社員時代の仕事は「できること」で、ストリップは「やりたいこと」なんですよね。
会社員時代は自分のできる仕事、周りに求められている仕事をして、喜んでもらうのがやりがいというか、楽しさだったんです。
一方で、ストリップは自分がやりたいからやっている、という気持ちが強いですね。自分がやりたいことをやって、それを観たお客さんが喜んでくれる、というのは会社員時代とは違った仕事の喜びを感じますし、今はその楽しさを味わっています。
やりたいことがあってもそれを仕事にできなかったり、そもそもやりたいことが見つからない人もいるなかで、私はたまたまやりたいことを見つけられて、それを仕事にできているというのは、本当にラッキーだなと思いますね。
――自分ができる仕事をするのか、やりたい仕事をするのかは、多くの人が直面するテーマですよね。
宇佐美 「できること」と「やりたいこと」の2つが重なる仕事をするのが一番幸せだとは思いますけど、どちらを選んだほうが良い、というのはないと思っています。仕事を選ぶときに、自分ができることをするのか、自分のやりたいことをやるのか、人によってそれぞれ軸が違うので。
私の場合、今は自分のやりたいことをやってますけど、「自分ができることをする」のも仕事への向き合い方として素晴らしいことだと思います。
「風当たりの強さを感じて…」性産業に対する社会の偏見に思うこと
――ストリップは性風俗業のひとつですが、そういった職業に対する偏見などは感じますか。
宇佐美 普段は、私自身や私の職業に対して理解のある人たちに囲まれていますし、お客さんも優しいので、日常生活で好奇の目を向けられることはあまりないですね。
ただ、ストリップ劇場にコロナの給付金が出なかったり、ストリップ劇場が摘発されたというニュースを見たりすると、性産業に対する風当たりの強さを感じて悲しくなります。
もちろん私は、「ストリップは素晴らしい文化なのだから、性風俗業じゃない」と言いたいわけではありません。数ある仕事のひとつとして、性産業に対する社会の偏見が、見直されていくよう願っています。
ストリップ劇場はみなさんが思っているほど特別な場所じゃないし、踊り子はそんなに特別な仕事でもない。それを想像してみてほしいなというのが、今回私が取材を受けることにした意図でもあります。




