「なぜオタマジャクシが空を飛ぶのか?」
――「エコ映画」という意識はおありですか。
エコ映画ですが、強い政治的な主張を込めたわけではありません。自然を見て「素晴らしい、美しい、こんなに奇妙」と思った周りにある自然に対する興味を抱く感情が、すでにエコなのだと思っています。
鑑賞後にはタンポポへの見方が変わったり、雑草が単なる雑草として見えなくなるなど、自然に対する概念が変わるかもしれません。それで既に第一歩だと思っています。
――本作は子どもから大人まで一緒に見られますね。
色んな子ども達に見せたいと思っています。今回、大人の観客から、「なぜオタマジャクシが空を飛ぶのかがわからなかった」というフィードバックがありました。でも、子どもは多分そういうことはあまり考えないと思います。どのみちフィクションですし、「それはそういうもの」として見る寛容さがあります。生きている世界と概念が違うからか、それを受け入れられない大人もいると思うんですよ。
――柔らかな感性の子どもと見ても、さらに楽しめそうな作品です。瀬戸監督は美術館でも作品を上映されてきました。私もこれまでリールの美術館LaMやポンピドゥー・センターで短編を拝見しました。作品の出口として、多様な場所で上映したいとお考えでしょうか。
私のバックグラウンドが美大なので、美術館やギャラリー、展示会は親近感があり、大事なスペースです。アート活動はこれからも続けたいと思っています。日本では短編映画『プラネットΣ』を森美術館に購入していただきました。ただ、短編はそういうところで大丈夫ですが、長編は美術館ではなく映画館で上映する予定です。本作は約1時間15分で、フランスでは2026年3月11日に映画館で全国公開予定です。

