「嫉妬妄想の時の母は、女性の嫌な部分を見ている感じがしてすごく嫌でした。認知症で時間の間隔がないため、父が新聞を取りに行っただけで『どこに行っとったんや? 浮気してきたんや!』と責め、新聞取りに行っていたと説明しても耳に入らない。自分で買ったもののレシートも忘れているので、父が女と買い物に行ったと自信満々で言い張りました」

 そんな時、コロナ禍で海外留学ができなかった田村さんの娘が、1年間休学して田村さんの両親をサポートするため、実家で暮らすことに。

「私の娘が説得し、母に付き添って病院を受診したものの、母はMRIの検査を逃げ出し、その後、脳の血流状態を調べる脳血流シンチグラフィも逃げ出してしまったため、『アルツハイマー型かレビー小体型認知症では?』という曖昧な診断になりました」

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 次第に母親は、実家の近くにあるユニクロの若い女性が浮気相手だと言い始めたため、父親はユニクロに行けなくなった。

※画像はイメージ ©mapoイメージマート

 その次はスーパーのレジの女性たちを次々に疑い始めたため、父親はスーパーにも行けなくなった。

 この時期、父親のメンタルはかなりダメージを受けていた。ダメージと比例するように、父親の家事負担は増えていく。

 母親は認知症と診断された後、要介護認定を受けると、要介護1だった。ケアマネジャーを選ぶ際は、母親の嫉妬妄想のため、男性にしてもらった。

「この頃はまだそこまで切迫性がなく、母の性格上、介護サービスの利用は無理だと思っていたため、デイサービスもヘルパーさんも利用せず。結果、1年後に受けなければならなかった要介護認定の更新審査を忘れてしまいました……」