「菊池ドリル」というトレーニングプログラム
ドライブラインベースボールは、ワシントン州シアトル郊外にある野球トレーニング施設で、特にデータ分析と科学的アプローチを用いたトレーニング方法で知られています。同施設は、投手や打者のパフォーマンス向上を目的とした多用なプログラムを提供していて、投手のメカニクスを改善することに定評があります。その効果が如実にすぐさま表れたのだと感心しました。
また、ノースカロライナ州シャーロットにも同様の投手に特化したトレーニング施設のスレッド・アスレチックス(Thread Athletics)があります。ここには、菊池の投球動作から開発された「菊池ドリル(Kikuchi Drill)」があり、メジャーリーガーはじめ多くの投手が自身のメカニクス改善のために取り組んでいます。
菊池は投球時に軸足のかかとを少し浮かせる動きをします。そうすることで、体重移動をスムーズにして、地面からの力をうまく指先に伝えられるのですが、これを身体に覚え込ませるトレーニングが菊池ドリルです。
「凄く良い選手だ!」と驚かせたアストロズでの活躍
例えば、このドリルに取り組んだミッチ・ケラー(ピッツバーグ・パイレーツの投手)は、球速が時速95マイル(約153キロ)を超えたことがなかったのですが、100マイル(約160キロ)を超えました。スレッド・アスレチックスは、ドライブラインベースボールと並ぶ、アメリカ屈指の野球トレーニング施設です。ここで菊池のメカニクスの一部がドリルになっているのですから、いかに彼の投球動作が効率の良い優れたアプローチとなっているかがわかります。
菊池は2024年シーズン途中からヒューストン・アストロズに移籍しましたが、素晴らしく順応して見事にエース級の投手に進化してみせました。防御率も移籍前に4・75だったのが、移籍後に2・70と劇的に改善しています。アストロズは同年、4年連続14回目の地区優勝を飾りましたが、菊池は加入後、10 試合に先発して5勝1敗とチームを地区優勝に導く活躍をしてみせました。移籍前の防御率から否定的な声は少なくありませんでしたが、エース級の仕事を果たしたことで、多くのアメリカのベースボールファンが「凄く良い投手だ!」と驚いていました。

