「聴いている人の顔を見るのが好きだから…」
《聴いている人の顔を見るのが好きだから、コンサートも昔から、なるべく小さな会場を選んでいるんです。イベントだと仕方なく大きなホールになってしまうんですけど、照明を落としてもらった時に、絶対に肉眼で後ろの席の人まで顔が見えないといやだった。だからコンサートも武道館でやったことはないんですよ。人の顔が見えないほど大きなところで歌うくらいなら、1日に2回歌いますから、お願いですから小さい会場でやらせてって思ってた。私、歌というのは人に聴かせるためにある、と思っているんです。もし、トラブルでマイクが落ちた時も、アカペラで聴こえるところにお客さんがいないと私はいやなんです》(以上、引用は『CREA』1996年5月号)
1994年12月に3年5ヵ月ぶりに開いたコンサートの会場も、客席約500の渋谷・パルコ劇場だった。6年半ぶりにライブを行った昨年(2024年)7月のファンクラブイベントも、丸の内・COTTON CLUBでの全5公演の来場者は計780人と、まさにすべての客の顔が見えるなかで歌唱した。ファンからすればライブに行くたび「彼女が間近に降りてきてくれる」という感覚なのではないか。
今回の復帰後の彼女には、以前にも増して軽くなった印象を受ける。#1の冒頭でとりあげたかが屋の加賀翔にファンクラブイベントの撮影を依頼したときには、明菜から直々にかが屋の所属事務所にメールを送ったという(ただ、マネージャーは迷惑メールだと思ってしばらく開封しなかったとか)。まったく接点のない若手芸人に、玄人はだしとはいえ本業ではない写真の撮影を託したことに驚かされる。
しかし、明菜が若い頃から常に新しいことに挑戦し続けてきたことを思えば、彼女はまったく変わっていないともいえる。いまはただ、無理はせず、今後も息長く歌手として活動を続けてほしいと願うばかりだ。
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