目を覚ますと、体が動かなかった

——意識を取り戻したとき、どんな状態でしたか?

横田 口に管が入っていて、体は全く動かないのに、目だけが見えていました。今、自分がいる世界が現実なのか幻なのか、全くわからないんです。

 手の指を見ると真っ黒で、内側に90度くらい折れ曲がっていました。足は動いたけれど、自分では見えないので、どうなっているのかわかりませんでした。

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医者からの説明に理解が追いつかず…

——お医者様からはどんな説明がありましたか?

横田 たぶん、発症から1週間ほど経った頃には(説明を)聞いていたと思うんですけど、その頃はまだ頭がボーッとしていて、記憶が曖昧なんですよね。

 少し落ち着いてから、電撃性紫斑病というのは、ハッキリした理由はわからないけれど、何らかの重症な感染症がきっかけで、手足が指先から黒く壊死していく病気だと説明されました。

 私の場合は両脚の膝から下と、両手の指の切断が必要だと言われたと思います。

 

 ショックが大きすぎて、理解が追いつきませんでした。リハビリの作業療法士の先生が部屋に来て、一生懸命私の手を動かそうとしてくれたのですが、明らかに固まっていて動かなくて。「たぶんそれ、無理だと思いますよ。感覚もないし」と言ったのを覚えています。

 病院に運ばれて手術をするまで1カ月くらいかかり、「皮膚がただれてしまって、手術をしても縫えない」と言われました。

 脚と手の指を切断する予定でしたが、特に手の指の皮膚の状態が悪かったので、先に脚を切断して、10日後に手の指を切断することになりました。