付き合って100日ほど経ったとき、かれには4年付き合っていた女性がいたことを知った。こんなメッセージが送られてきたからだ。「今〇〇モーテルにいる。元カノと寝てまた付き合うからおまえとは終わりだ」。誰かと初めて付き合ったのに100日も経たず別れるなんて話にならないと思った。ジウンは男を引き留めた。
いつからかかれは、ジウンに対して絶え間なく腹を立て非難するようになった。元カノとのセックスと比べられもした。そのときからジウンはセックスに対する強迫観念を持つようになった。初めて恋愛をするジウンにとって、歳上で経験も多いカレシの言うことはそのまま基準になった。
「オッパ[女性から近い関係にある(兄・友人・恋人など)年上の男性への呼称]はなんでわたしの誕生日も祝ってくれないし、わたしとはイタリアンにも行かないでキムチチゲみたいなものしか食べてくれないの?」
かれはジウンの理想が高すぎるし悪い習慣を持っているからそういうクセを治してやっているんだと言った。ジウンは料理を練習し、洗濯もしてあげ、外食すればカレシに見えないように会計もして、男が望む「カノジョとしてのセンス」を身につけようと努力した。男との関係に没頭していき、いつの間にか学校にも行かなくなった。それが愛だと思っていた。
「暴言を吐き始めたんです。イカれた女、〇〇女。酒を飲めば暴力的になって。1ヶ月に4回ぐらいは付き合った別れたを繰り返してたんですけど、そうしながらだんだん(わたしが)おかしくなったんだと思います。カレシが怒ったらセックスでなだめて。ずっとセックスばかりでした。それをなんてことないと思ってたけど、(わたしにとって)ストレスと傷になってたってことですよね?」
ジウンはわたしに訊き返した。当時これがひどい状況だとわからなかったことがもっと怖いと言った。
「喧嘩すると二人とも泣いて、ある瞬間からわたしが壊される側になるんです」
