今月、報道をきっかけに波紋を招いた「食用目的のセミの乱獲」――。ついには「セミ採取禁止」の張り紙を出す公園も。しかし、セミを食べる文化自体は昔からある。では、本場中国では、セミの食文化はどのように発展してきたのか? 日本はセミを取りたがる中国人とどう付き合えばいいのか? 昆虫食文化に詳しい、NPO法人食用昆虫科学研究会理事・吉田誠氏のレポートをお届けする。
◆◆◆
公園に「セミ採取禁止」と張り紙されるようになったワケ
食用を目的とした、セミ大量採取禁止のニュースが話題である。セミを大量に採る採取者がいたことなどから、東京都江東区の猿江恩賜公園にてセミ採取禁止の張り紙が貼られ、話題となっている。
実は以前からセミ採取禁止の動きはあり、2018年には埼玉県川口市の公園で、同様の張り紙がされたことも一部で注目を集めた。夜中に大量採取しているグループが目撃されており、「(採取の量が)度を越えている」と判断され、各自治体が動いた結果だ。
ニュースになると「セミを食べるなんて!」という驚きの声や、マナーの悪さを指摘する声が飛び交い、「セミ食い」がまるで異常な行為であるかのような空気が流れた。
しかし、そもそもセミを食べる食文化は昔からある。しかも本場中国では、養殖も行われている。採取が禁止されている場所でルールを破るのはもちろんアウトだが、食文化として発展していることも知ってほしく、この記事を書いてみた。
セミを食べてきた中国でも、これまでは野生のセミを採取するのが一般的だったはず。ところが最近、食用のセミを養殖していると耳にはさんだ。これはぜひ現場へ向かわなくては!


