「ほんとうにヤバい話を書きたい」

:他には大阪・関西万博に絡んで、「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」という芸術祭があるんですが、これ、プログラムがたくさんあって、私はその中の「思弁的な音楽/物語派」展でアート作品を公開予定です。ボカロPのみなさんと一緒にやるインスタレーション展示ですね。ルクア大阪で、9月13日から1カ月間。

三津田:幅広いなあ(笑)。梨さんはプランナーとか、そういう肩書きもあるんですか?

:いえいえ(笑)。どんな企画でも私の仕事はライティングですし、あとやっぱり小説書いてるときが一番楽しいんですよ。

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三津田:嬉しいことをおっしゃいます。やっぱり僕は、梨さんにはたくさん小説を書いてほしい。

司会:小池さんはいかがでしょう?

三津田:小池さんの次は、やっぱり『幽霊物件案内2』の文庫化でしょう。僕も以前、『幽霊物件案内』の1と2を合本にして出し直したくて、企画を立てたことがありましたが実現しませんでした。

小池:『幽霊物件案内2』の関連で言うと、実は2010年代に、とある幽霊物件を借りたんです。動画の配信もやったんですが、結局差し障りがあったので、適当なところで撤収しました。以後タブーみたいになってそのままですが、そういう話を特典にできるかもしれませんね。

三津田:やりたいテーマとかありますか。前に四谷怪談の話をなさってましたけど?

小池:四谷怪談はもうやり残したことはないので、どちらかというと、自分の人生の中から飛び出してきたようなものを書いていくっていうことはやるんだろうと思います。本当にヤバい話って、表には出ないですからね。関係者がいなくなって埋もれたままの話とか、もう生き証人が私しかいない話なんかをやっておこうかなと思うことはあります。墓場まで持っていっちゃうのもなんですから。

小池壮彦(こいけ・たけひこ)
1963年、東京都生まれ。國學院大學文学部卒業。作家・ルポライター・怪談史研究家。フィールドワークと文献調査により、幽霊・心霊事件の社会的背景を研究する。90年代半ばから『東京近郊怪奇スポット』『心霊ウワサの現場』『幽霊は足あとを残す』『心霊写真 不思議をめぐる事件史』『心霊ドキュメンタリー読本』『東京 記憶の散歩地図』『怪談 FINAL EDITION』など多数の著作を発表。怪奇探偵としてテレビ番組にも出演する。近刊として『日本の幽霊事件』と『東京の幽霊事件』の合本、『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』 が角川ホラー文庫で文庫化された。

 

梨(なし)
インターネットを中心に活動するホラー作家。2022年、『かわいそ笑』で書籍デビュー。「その怪文書を読みましたか」「行方不明展」「恐怖心展」等展覧会の企画から、イベント・テレビ番組「祓除」構成、映像作品「マルクト情報テレビ」 「マルクト ~あなた、誰ですか?~」原案・監修、漫画『コワい話は≠くだけで。』原作など、多方面で活躍。他の著書に『ここにひとつの□がある』『お前の死因にとびきりの恐怖を』『自由慄』『6』や、『つねにすでに』(株式会社闇との共著)、謎解きゲーム集『5分間リアル脱出ゲーム おしまい』(SCRAPとの共著)などがある。25年8月刊『令和最恐ホラーセレクション  クラガリ』(文春文庫)に「恐怖症店」が収録されている。

 

三津田信三(みつだ・しんぞう)
2001年『ホラー作家の棲む家』(文庫化に際し『忌館 ホラー作家の棲む家』と改題)でデビュー。10年『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞受賞。ホラーとミステリーを融合させた作風により、各ミステリーランキングで常に注目を集めている。『山魔の如き嗤うもの』で2009年版「本格ミステリ・ベスト10」第1位、また2017年版では同ランキングの20周年企画で『首無の如き祟るもの』が20年間のベストに選出された。『幽女の如き怨むもの』で2013年版「ミステリが読みたい!」第1位獲得。〈刀城言耶〉シリーズや〈死相学探偵〉シリーズ、〈物理波矢多〉シリーズなど多数。『のぞきめ』は2016年に映画化された。

幽霊物件案内 (文春文庫 こ 52-1)

小池 壮彦

文藝春秋

2025年6月4日 発売

恐怖症店

文藝春秋

2025年7月4日 発売

令和最恐ホラーセレクション クラガリ (文春文庫)

背筋,澤村 伊智,梨,コウイチ,はやせやすひろ✕クダマツヒロシ,栗原ちひろ

文藝春秋

2025年8月5日 発売

最初から記事を読む 空前のホラーブームに乗って四半世紀前の実話怪談の名著が大復活!