現在、都内のクリニックで働く歯科医の矢作有紀奈さんは、歯大生時代にSKE48のオーディションを受け合格し、一時期は歯大生とアイドルを両立した異色の経歴の持ち主だ。

 大学では勉強に追われていたという矢作さんがアイドルのオーディションを受けた意外な理由、さらにSKE48で待っていた苦難について明かしてくれた。(全3回の1回目/続きを読む

SKE48の元メンバーで現役歯科医の矢作有紀奈さん ©山元茂樹/文藝春秋

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中学受験で「燃えつき症候群」に…歯学部に決めた理由は

――現役歯大生だった矢作さんがなぜアイドルをやることになったのかについてお聞きしていきたいんですけど、そもそもネットでは実家がお金持ちと書かれていますよね。

矢作有紀奈さん(以下、矢作) ネットのイメージだと超絶お金持ちになっているのですが、全然(笑)。もともとおじいちゃんが会社を経営していて、それをお父さんが継いだ感じです。だから中小企業の社長さんくらいだと思います。

――矢作さんも、妹で元AKB48の萌夏さんも中学受験をしていますね。ご両親は教育に熱心だったんですか?

矢作 もともと仲の良かったいとこが中学受験をするとなって「私もやる」と言ったんです。そうしたら母のスパルタスイッチが入ってしまって(笑)。もうビシバシやられてました。そのおかげもあって志望校に合格しました。

 ただ中学に入ったら勉強をしなくなりましたね。もういいやって(笑)。母には「受験に合格したらバラ色の人生が待っているよ」って言われて、それを信じてやってきていたので、燃えつき症候群みたいになっちゃって。中学では勉強せずに、漫画を読んだりゲームをしたり、おしゃれにも目覚めて。そうしたら成績がビリになっちゃって。先生からは「女子でこの成績は恥ずかしいよ」って言われた記憶があります。

――そこから歯学部に行くというのはずいぶんなシフトチェンジな気もします。何がきっかけだったんですか。

矢作 私の通った高校は中高一貫校だったんですけど、ある日お母さんと進路の話をしたときに「手に職というか国家資格を持ってた方がいいんじゃない」って勧められて。じゃあ医学部を目指そうと気軽な気持ちで目指しました。漫画の「医龍」に憧れていたのもありましたし、美容が好きなので、美容整形外科医になりたいなとも思っていたんです。

本人Instagramより

――芸能界への興味はどうだったんですか。

矢作 当時は全くなかったです。あまり自分に自信がなかったので。ただ、高校の文化祭でダンスを踊ることがあって、K-POPやAKB48の曲で踊ったんです。そうしたらすごく注目を浴びて、私のちょっとしたファンができたんです。

 そのときに「私って目立つことがもしかしたら好きなのかもしれない」とも思ったんですが「でも私ってアイドルとかになれるほどじゃない」って思って、普通に過ごして受験していました。

――大学受験では2浪されたそうですね。