ルートを決めない“自由の旅”で見つけた世界のお母さんの共通項

――“自由の旅”で楽しかったことは何ですか。

シンディ 何も決めずに旅してみると、今まで思ってもみなかったことにたくさん出会いました。ガイドマップには載っていないような素敵な場所にも。フランスといえばエッフェル塔、アメリカといえばハリウッドみたいな観光地ではなく、その国で最初に出会った人が想い出を作ってくれるんですよ。

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 メキシコで道に迷っていた時、声をかけてくれたおばあちゃん。お昼ご飯をご馳走してくれて、「ここに行ったらこんな景色が見られるよ」って聞いて、実際行ってみたら「定番観光地の100倍面白いじゃん!」って。彼のおかげで、国のイメージは最初に出会った人によって決まるということを知りました。

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 あとは世界中のお母さんに助けられたし、お母さんって世界共通で永遠にご飯を食べさせようとするんですよ(笑)。1、2日の予定が居心地よくて1週間居ちゃって、泣きながらお別れしたり。

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 お母さんが笑っていれば笑ってるほど、家庭環境がいいということにも気づきました。自分のお母さんに笑ってもらうためにはどうしたらいいかな? 私が結婚して母になったら、ずっと自分が笑っていられる家庭を作りたいなと考えるようになりました。

国の豊かさと人の心が豊かさはイコールではない

――危険な目に遭いませんでしたか?

シンディ 彼がいなかったら、死んでてもおかしくないような経験もたくさんしました。お金を盗まれたり、銃を突きつけられたり。やっぱりお金をセーブする旅をしていたので。ただ、世界中のいろんな家庭にお邪魔しましたが、いい人、悪い人は自分で判断できるつもりでいました。

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――旅行中の出来事で、印象的だったことはありますか?

シンディ 発展途上国の人たちの優しさを目の当たりにした一方で、日本を含む先進国の心の貧しさに失望しました。

 先進国では困っている外国人に声をかけて助けようとする人は本当に少ない。他の国ではどんな格好をしていても気にされませんでしたが、ヨーロッパやアメリカだと、「冬なのに、何でサンダルはいてんの?」とか悪口を言われたり、差別されたり。

 自分たちもお金がないのに、困っている人たちに分け与えようとする発展途上国の子供たちを見て、私たちの方が圧倒的に心が貧しいと痛感しました。国が豊かであることと、人の心が豊かであることはイコールではないんですよね。

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――言葉の問題もあって、外国人旅行者に声をかけるのをためらう日本人は多いですね。

シンディ ほぼ1カ国語しか喋れないのは日本人だけだと思います。アフリカや南アメリカなどの発展途上国の人たちも、大体2カ国語以上話せるんですよ。

 ケニアにいる時、ちっちゃな女の子に「チョコバー買ってくれない?」って話しかけられて、「どうして英語喋れるの?」って聞いたら、「英語を話せないと生活できないから」って。生命力の強さでいえば圧倒的に負けていると思いました。