きょう8月20日は、歌手のアグネス・チャンの誕生日である。近年、お笑いコンビ・霜降り明星のせいやが、15歳のときからアグネスのファンクラブに入っているほど大ファンであると知られたこともあり、かつてアイドルだった時代の彼女が改めて注目されるようになった。
せいやはアグネスとテレビ番組の企画で初めて対面し、彼女の歌のなかでもとくに好きなものとして、「山鳩」と「100万人のJabberwocky(ジャバウォーキー)」の2曲を挙げた。当のアグネスからすると「山鳩」は、シングル「草原の輝き」のB面曲で、自分でも内容をよく覚えていないくらいなので、それが好きだと聞いて「本当にファンなんだな」と感じたという(アグネス・チャン『終わらない「アグネス論争」 三人の息子をスタンフォード大に入れて思うこと』潮新書、2020年)。彼女は昨年(2024年)のせいやの結婚披露宴にも出席している。
香港生まれ、15歳でスカウトされ歌手デビューを果たす
アグネスは1955年、当時イギリス領だった香港に生まれた。アグネス・チャンは英語名で、中国名は陳美齢(チャン・メイリン)である。香港では、学校や友達のあいだでは英語名、家族や親戚では中国名で呼び合うのが暗黙のルールだという。
中学に入ってからはクリスチャン団体でボランティア活動を始めた。当時は中国のプロレタリア文化大革命のさなかで、熾烈な権力闘争のあおりで国を追われた大勢の人たちが難民となって香港に押し寄せていた。
アグネスはボランティア活動の一環で、難民の子供たちを集めた学校に通い、絵本を読んだり即興でつくった話を聞かせたりしていたが、そのうちにネタが尽きてしまう。そこでふと聖歌を歌ったところ、みんな聴き入ってくれ、最後は拍手とアンコールの声が上がった。彼女が歌の力を知った瞬間だった。
