ヒソヒソもジロジロも「知らないこと」が原因
――実際に子どもたちと接してどんな反応がありましたか?
星来 子どもは遠慮がないので、「なんで小さいの?」ってまっすぐ私に聞いてくるんですけど、「赤ちゃんの時からの生まれつきの病気で小さいんだよ」と答えると、それで納得するんです。
「小さい先生、怖い」と言われたこともあるし、ヒソヒソ話で、「なんであの先生、小さいの?」って話している子もいましたけど、ちゃんと説明すれば、ヒソヒソ話も「怖い」と言われることもないんですね。
――子どもたちにとって未知のままであることが「ヒソヒソ」や「ジロジロ」につながっていたと。
星来 他のクラスの子から「なんであの先生小さいの?」と聞かれて、自分の受け持ったクラスの子が教えてあげているシーンも見ました。
側弯症の手術で入院した際、入院している子どもたちの保育をする「医療保育」の存在をはじめて知ってその道を目指し始めたんですけど、保育実習の現場で、障害のある人が身近にいるかどうかで全然考え方が変わってくることがわかったんです。
なので今は、病気がある子たちを病院の中でサポートするのではなく、子どもを含め、いろんな人に多様な価値観を届けられるようになりたいと思って、芸能の仕事もはじめたんです。
「やっぱりちゃんと言わないと伝わらないんだ」
――ちなみに、学校のような環境が変わる際は、星来さんから障害について周りに説明をしてきたのでしょうか。
星来 それで言うと、中高一貫校に入ったんですけど、高校に入った時にコロナ禍になり、オンライン授業になった関係で、高校から新しく入ってきた子たちとあんまりコミュニケーションがとれなくなったんですね。
そうしたら卒業後、当時あまり親しくしていなかった高校の同級生から連絡がきて、「あの時もっと話したかったけど、どうやって話しかけていいかわからなかった」と言われたんです。
高校生にもなれば私の見た目で、「この子には何か障害があるんだな」とわかるだろうから、わざわざ自分から言わなくていいと思っていたんですけど、やっぱりちゃんと言わないと伝わらないんだ、とその時はじめて痛感しました。
――大学生になり、行動範囲が広くなったことで感じることもありますか。
星来 それまでは親が学校や園に掛け合ってくれたこともあって、周りが受け入れてくれるのは当たり前という、恵まれた環境で生きてきました。
それこそ中高の友だちは、エレベーターが満員だと私をエレベーターに乗せてくれて、他の皆は階段を使う、みたいなことを自然にやってくれたんですけど、大学では普通に皆、エレベーターに乗っていきますね。バスの車内でも転倒が怖いのでなるべく座りたいけど、席を譲ってもらえないことも多くて。
ヘルプマークが目の前にあっても皆スマホを見てて気づかないし、背が低いという見た目だけでは、私がどんなリスクを背負っているかは伝わらないよな、と。

