ランキング1位に輝いたのは…

 栄えある第1位は……羽生善治九段! うん、羽生九段は将棋連盟会長で、上司(師匠)のイメージにもピッタリ。あまりに当然の結果であった。

 え、私? 実は第3位の谷川浩司十七世名人に次いで第4位。並居るトップ棋士に食い込めて満足である。

杉本昌隆八段 ©︎文藝春秋

 さて、この記事の少し前の8月7日。東京都内で藤井聡太名人の名人就位式があり、私も出席した。

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 祝辞は藤井名人の地元、瀬戸市の広報大使でもある講談師の旭堂鱗林さん。話すことに関してこれだけ適任な人材もそうはいまい。祝辞がこれだけ面白いと参加者も小咄でも聞きに来たようなお得感があり、ステージ上の藤井名人も非常に柔やかだった。

 一般ファンを交えた就位式後の祝賀パーティーでは、一緒に写真を撮ってもらおうと、羽生会長の前に行列ができていた。

 そのすぐ近くにいた私。何となしに羽生会長から私へと、記念写真のリレーの図式ができる。

 参加者は200人以上おり、希望者全員とというわけにもいかないが、私も羽生会長と共同で大きな任務をこなした気分であった。

ツーショット抽選会で沸き上がる会場

 なお、この日の主役の藤井名人とは、進行の関係上、参加者とのツーショット撮影はなし。その代わりこれを目玉とした抽選会があり、当選した数人のみがその恩恵に与れたのだ。

『師匠はつらいよ2 藤井聡太とライバルたち』 (杉本昌隆 著)

「当選者は〇番の方です」

「キャー!」

 今や女性が8割、9割とも言われる将棋のイベント。嬉しさや楽しさを前面に出してくれるので私たちもやりやすく、これには見習うべきことが多いのだ。

 最近、私も諸々の理由で藤井七冠にツーショット写真をお願いすることが多い。なお、師匠特権を利用しているので抽選は免除である。

「藤井君、申し訳ないけど一緒に写真を……」

「あ、和服に着替えましょうか?」

 控え室で休む弟子に時間を割かせてしまう師匠。最近の師弟の写真は藤井七冠の気遣いと私の図々しさ、そしてある種の背徳感によって成り立っているのだ。

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次の記事に続く 藤井聡太の師匠がぎっくり腰で動けず「ここは弟子の出番か…?」遠征前日のピンチで脳裏に浮かんだ“奇想天外な作戦”の中身