この絵本のように、初期のばいきんまんは、アニメとは違った姿だった。「やせていて羽が大きくボタンはふたつだった(編集部註:アニメ版はひとつ)。ツノには毛がはえていた。つまりぼくはハエからつくったのだ」とやなせは『アンパンマン伝説』(フレーベル館)に書いている。絵本ではばいきんまんが「おれさま」とは言っているが、まだ「ハヒフヘホー」「バイバイキーン」の決めゼリフは出てこない。

息子に意地悪をする実母は、ばいきんまん?

それからアニメ化を経て、ばいきんまんのキャラクターは徐々に完成し人気を得ていくのだが、悪者だけれど、どこか憎めず、間抜けなところもあり、アンパンマンにアンパンチでやられてしまっても、懲りずにまた意地悪をしかける。そんなばいきんまんは、究極のツンデレだ。本当はアンパンマンのことが好きで、構ってほしいのではないか。

「あんぱん」では、ばいきんまんに、松嶋菜々子が演じる嵩の母・登美子を重ねているようだ。

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既にキャストのインタビューなどで、今田美桜演じる“のぶ”はドキンちゃん、その妹の蘭子(河合優実)はロールパンナ、末の妹・メイコ(原菜乃華)はメロンパンナちゃんをイメージし、それぞれオレンジ、ブルー、グリーンの色の衣装を着ることが多いことが明かされている。三姉妹の母・羽多子(江口のりこ)は名前からしてバタコさんだし、パン職人のヤムさん(阿部サダヲ)はジャムおじさん……とくれば、登美子がばいきんまんでもおかしくはない。

登美子は嵩の父である夫・清(二宮和也)に死なれ、再婚するため嵩を伯父、つまり清の兄である医師の寛(竹野内豊)に預けた。そして、幼い嵩がはるばる遠くの町まで会いに行っても突き放した。それなのに再婚が破綻してからは悪びれず伯父の家に押しかけてきて居候し、勉強の苦手な嵩を無理矢理、医者にしようとした。

ドラマでは干渉する母親を息子が拒否

ところが、嵩が受験に失敗すると、嵩の弟・千尋(登美子の実子だが、先に寛の家に養子に出していた)に責められたこともあって、東京へ。そこでちゃっかり地位のある軍人と再々婚する。その3人目の夫からは、立派な茶室のある屋敷を相続した。