なぜ人口が増えているのか?

 まず西口側が整備され、それとともに住宅地なども少しずつ拡大していった。2007年に駅舎が橋上化し、いよいよ東口にも開発の手がつけられる。

 東口の高台のニュータウンの開発は、2010年代になってからである。

 
 

 そしていま、木津駅のある木津川市は人口が急増しているという。都市部であっても人口の減少に悩まされるこのご時世に、目覚ましいほどの人口増加。

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 具体的に言えば、2000年には6万人に満たなかったところ、現在では8万人を突破しているのだ。

 

 この人口増加を支えているのは、木津駅東側のニュータウンをはじめ、いくつもの新興住宅地が開発されているからだ。

 

 市の南西部には相楽ニュータウンという巨大な住宅地があり、奈良県との府県境近くには巨大なイオンモールもできた。

 もちろん過疎が進んでいるような地区も中にはあるが、総じて他の地域からの人口流入が続いている町といっていい。木津駅のお客もそれに呼応して、近年は右肩上がりで増えている。

 

 それもこれも、奈良はわずか10分ほどの近さで京都・大阪だっておよそ1時間という利便性、そしてそれでいてまだまだ自然に恵まれた農村風景が残っているからだろう。

 
 

 1時間の通勤を遠いとみるか近いとみるか。まあ、東京だったらその程度の通勤時間は当たり前。木津駅だったら座って通勤できる可能性も高く、文句を言うほどのこともない。

 木津駅と木津川市は、京都と奈良の間にあって目下急成長中の町なのだ。それでいて、木津川の水運を背景にした歴史文化も育んできた。

 “京都と奈良の間には何があるのか”などと、安易に侮ることなかれ。そういう要衝のターミナル・木津駅であった。

写真=鼠入昌史

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