野生動物の保護も重要だが、こういった状況下において、現実問題として行政主導での駆除作戦は必要だろう。

9月1日より鳥獣保護管理法が改正され、市町村の判断で市街地でも特例として猟銃の使用が可能になり、警察官だけでなく、ハンターも猟銃を発砲できるようになった。

クマが市街地に出没した場合の対策が強化された訳だが、実際に市街地でハンターが発砲した場合、世論の反発も予想される。冒頭に挙げたよりもさらに過激な抗議が殺到することが予想される。自治体の悩みは今後も続くだろう。ある意味、クマより人間のほうが厄介かもしれない。

中野 タツヤ(なかの・たつや)
ライター、作家
1977年富山県生まれ。東京大学卒。新聞社系出版社などを経て独立。Web編集者としてヒグマ関連記事を多数手掛ける。
次のページ 写真ページはこちら