いま、アメリカで「言論の自由」をめぐる大騒動が起きている。9月10日(現地時間)に暗殺された米保守派のインフルエンサー、チャーリー・カーク氏について、人気の深夜トークショー司会者、ジミー・キンメル氏が事件についてのコメントを発したところ、いきなり番組が「無期限停止」とされたのだ。
この背景にあるトランプ大統領が進める言論統制、ディズニーを含む巨大放送ビジネスの策略とは。番組はどうなったのか? ニューヨーク在住ライター・堂本かおる氏が寄稿した。
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若手右派インフルエンサーの銃撃事件をめぐって
若手右派の論客として知られたチャーリー・カークは、ユタ州の大学キャンパスでの講演中にビルの屋上から狙撃され、亡くなった。カークは大学生をターゲットとした保守派団体を率い、トランプへの若者の集票に大きな役割を果たしていた。22歳の容疑者は逮捕されたものの、動機はいまだに明らかにされていない。
いずれにせよ狙撃の瞬間のショッキングな動画が出回ったことも相まって、著名人から一般人に至るまでがカークについてのコメントを発した。生前のカークの意見は人種問題から銃規制に至るまで保守を通り越して極右的であったことから、コメントの多くはカークに対して批判的なものだった。それが理由となり、全米で150人近いジャーナリスト、教職員、店員、学生などが解雇/停職、退学となった。
トランプや保守派の怒りを買った番組での発言
ジミー・キンメルは暗殺の翌週、9月15日に自身の番組『ジミー・キンメル・ライヴ!』の冒頭で「MAGA集団はチャーリー・カークを殺害したこの若者を、自分たちの仲間ではないと必死に描写しようとし、そこから政治的な得点を得ようとあらゆる手段を講じた」と発言。カーク個人への批判や中傷ではなかったが、トランプを含む保守派の怒りを買った。
キンメルの番組を放映しているネットワーク局ABCは、17日にキンメルの番組を「無期限停止」、つまり事実上のキンメル追放とした。すると一般視聴者やメディア関係者からABCだけでなく、ABCの親会社であるディズニーに対しても、米国憲法修正第1条で保障された「言論の自由」に反するとして批判が噴出した。


