Oがだまし取った金は計9億円以上にのぼると判明

 12月11日付東京読売朝刊には、Yの実弟が事情聴取に「兄がOからもらった金だとは気づかなかった」と供述したことが報じられ、記事には「1億9000万円もらい得か」の見出しが付けられた。滋賀銀行は11月7日までに、Oがだまし取った金は1022回、計9億2170万円に上ると大蔵省銀行局に報告。11月8日の同銀行株主総会は、株主から「私財を投げ出せ」などと怒号が飛ぶ中、「役員さん平身低頭」(同日付京都夕刊見出し)の状態に。

犯行の金額は徐々に積み増された(京都新聞)
滋賀銀行の株主総会は大荒れに(京都新聞)

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 逮捕から20日余り。11月12日付東京読売では「9億円の涙…」の見出しで、Oが母親に宛てた手紙のことが報じられた。捜査員が届けたとしており、末尾に母親に掲載の了承を得たと注釈がある。便箋4枚にぎっしり書き込まれたという手紙の内容を抜粋すると――。

 お母さま、本当にごめんなさい。これ以上の親不孝はないと深く後悔をしております…。親子3人が平穏無事にくらしておりましたのに、私の愚かさからぶち壊してしまいました。

 

 お姉さまが「お若い時からお父さまのことで苦労しておられるお母さまだから、姉妹で心配だけはかけないように」と言われていた言葉がいまさら胸に染み込みます。

 

 銀行の営業室にいます時はもちろん、家に帰りましても、夜になって床に入りましても、絶えず悪事がばれやしないかという不安の連続で、正常にものを考える頭もなくなり、やたらお母さまたちに当たり散らしていたこと、本当にすみませんでした。

 

 本当の人間の生き方は燦然と輝く宝石でもなく、美しく着飾って高級車に乗ることでもなく、嘘のない毎日にあるということが、いまさらながら痛いほど分かる私になりました。

 

 こんな極悪な私にでも、見も知らぬ方々から慰めや励ましのお言葉を聞かせてくださったり、お心づくしを頂戴いたしました。生まれて初めて、人の心というものがしみじみ分かりました。

 

 いままでの私は爪先だけで不安定に背伸びをして歩いてきました。これからは地面にかかとまでどっしりつけて、犯した罪を一生かかりましても償うつもりでおります。