麻生には、「カタ」と「やわ」がある——。

 永田町界隈が喧しいさなかに見ればあれこれ妄想をたくましくしてしまいそうな、この文言。福岡空港から地下鉄に乗って博多、はたまた天神などに向かったことがある人ならば、きっと目にしたことがあるはずだ。

 地下鉄の座席に座ってぼんやり周囲を見渡せば、麻生グループの広告が決まって目に入る。で、カタとやわっていったい何だ。ああ、カタがラーメン、やわがうどんか。どちらも博多名物だ。なんだかお腹がすいてきた……。

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たったの5分の福岡空港→博多駅

 などと考えを巡らせているうちに、福岡空港からの地下鉄はあっという間に博多駅に到着する。その時間、たったの5分。

 福岡という都市は、空の玄関口であるところの福岡空港と、新幹線も乗り入れる陸の玄関口・博多駅が地下鉄でわずか5分という超近距離にあるのだ。もはや、隣り合っているといってもいい。

今回の路線図。観光地には珍しく、福岡空港と博多駅は超至近距離。ところで、その間には……?

 それでも博多駅が町外れにあったら価値も低くなりそうだが、もちろんそんなこともない。博多駅の周辺は、言うまでもなくザ・大都会。さらに繁華街として知られる中洲や天神も、博多駅から5分ほど。空港からなら10分足らずという計算だ。

 いやはや、これほどコンパクトにまとまっている大都市は、日本中を探しても他にあるまいぞ。

 と、ここまでは福岡を訪れた時に毎回必ず思うこと。そしてカタだかやわだか考えているうちに通り過ぎる、ひとつの駅にも思いを巡らす。

 福岡空港駅と博多駅のちょうど真ん中、東比恵駅だ。

福岡空港→博多駅の間にある“ナゾの途中駅”「東比恵」には何がある?

“ナゾの途中駅”「東比恵」には何がある?

 ただでさえとてつもなく交通の便に恵まれた福岡の町。

 そこにあって、両隣が空港と新幹線という東比恵駅なぞ、便利の中の便利、空恐ろしいほどに便利な町に違いない。いったい、どんな駅なのだろうか。

 東比恵駅は地下鉄の駅だから、とうぜんホームは地下にある。さほど広くもない、ごく普通の地下ホーム。陸空の玄関口ターミナルに挟まれているから、お客はさほど多くないのかもしれない。

 

 が、ホームの端っこには朝ラッシュ時のみ開く、交通系ICカード専用出口改札が設けられていた。

 となれば、朝には通勤通学でこの駅に降りるお客が少なからずいるということだ。