冷凍ラーメンがすんなり超えた「1000円の壁」

 コロナ禍で飲食店が一気に冷凍食品を作り始めた。洋食・和食など名店の作った冷凍食品がなんとなくニッチな雰囲気で細々と広がっていった中、圧倒的にラーメンが先陣を切って盛り上がっていった。

「お客さんから見て“価格に見合う”という判断になったんだと思います。万人受けしたんです。『宅麺』のような宅配サービスやお取り寄せが大ヒットし、その後、冷凍自販機のラーメンが盛り上がり、新たな常識が出来上がりました」(西川さん)

冷凍ラーメンを買える自動販売機 撮影=井手隊長

 この流れで、普段スーパーの冷凍食品売り場に行かない層の人たちが冷凍ラーメンを買うようになった。スーパーでは冷凍ラーメンは100円から200円だったが、一気に1000円台の冷凍ラーメンが売れるようになったのだ。市販品なら400円が限界だった価格の壁が、冷凍ラーメンの新しい客層によって破られたのである。地方に住んでいてなかなか名店のラーメンを食べに行けない人や、行列に並びたくない人、並ぶのが恥ずかしい人などいろいろなニーズをつかんでいった。購買層の女性比率が高いのもポイントである。

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 こうして、冷凍ラーメンはすんなり「1000円の壁」を超えた。家でお店クオリティのラーメンを食べたいというニーズにしっかり合致したのである。味だけでなく「店まで行くのが大変」「人目が気になる」「並ぶのが恥ずかしい」というさまざまな悩みを解決するという意味でも総合的に1000円の価値があったと言えるだろう。これは高価格帯の名店監修カップ麺が受け入れられたのと同じ流れだ。そして麺、スープ、具材すべてのクオリティが高いので、食べた人たちの納得感があったことも大きい。