自らデザイン・製作した義眼を装着、その自身の姿や製作の経緯を映像化して作品として発表しているアーティストのRib(リブ)さん(31)。そんなRibさんに、3回にわたりインタビュー。デザインされた義眼を作りたいと思ったのは、ある映画のキャラクターに惚れ込んだのがきっかけだったそう。インタビューの3回目は、デザイン義眼を作るまでの道のり、そしてRibさんのこれからの活動などについてうかがいました。(全3回の3回目/はじめから読む

Ribさん ©︎文藝春秋 撮影・細田忠

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――オリジナルの義眼を作るきっかけが映画だったとのことですが、どんな作品でしょうか?

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Ribさん(以下、Rib) 『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)です。10代の頃、私は現実逃避というか、映画や小説に没頭することに幸せを感じている時期があって。なかでもこの『ラスト・アクション・ヒーロー』というシュワルツェネッガーが出ている映画が大好きだったんです。

 どんなストーリーかと言うと、映画の世界に入っていけるという魔法のチケットがあって、小学生の少年の主人公が、それを使って映画の中に入っていくという。この作品に義眼の悪役が登場するんですけど、最初のシーンはニコちゃんマークの義眼を着けている。その義眼が登場するごとに変わるんです。それが大好きで!

――映画の登場人物に触発されて、それが作品作りにつながっていくんですね。

Rib そうなんです。それから、映画についての余談なんですけど、中学のとき、転校した先で「どこからきたの?」とかいろいろ聞かれ、その中で12歳までのことを聞かれると、昏倒してしまうことがあって。

――トラウマが原因でしょうか。

Rib ぼんやりしている記憶を「聞かれたから思い出さなきゃ、思い出さなきゃ」と馬鹿正直に自分自身を追い詰めていたんです。嘘も方便という発想がなかったんですね。

 ところが『ダークナイト』(2008年)という映画を観たら、ヒース・レジャー演じるジョーカーが「顔に傷がある理由を教えてやろうか?」って言うんですけど、毎回話すことが違うんです。「親父にやられたんだ」とか「妻を笑わせるために自分でやったんだ」とか。それを観て「これだ!」と思いました。「同じことをやればいいんだ。本当のことを言う必要はないんだ」と気づきました。

©︎文藝春秋 撮影・細田忠

――そうやって、映画からさまざまなことを吸収されたんですね。

Rib 映画はいろんなことを教えてくれました。それに映画を観ている間は没入できるし、映画の中に憧れの存在ができると、生きることが楽しくなる。だから映画がとても好きなんです。

 それで、『ラスト・アクション・ヒーロー』の登場人物みたいな義眼が手に入ったら……とかなり以前から思っていて。そのうち、そういう義眼を作ってくれるところがないか探し始めたんです。18歳19歳くらいの割と早い段階から。

――義眼ユーザーになる前から、憧れのデザインの義眼を探し求めていたんですね。

Rib はい。でもどこからも「作ってない」「作れない」って言われてしまって。20歳でやっと作れたのが、ノーマルなタイプの義眼でした。