鉄道と道路が交差する「踏切」。なかでも、数十分も閉まりっぱなしでイライラさせられる「開かずの踏切」は、なぜ生まれてしまうのか。鉄道ジャーナリストの杉山淳一さんが解説する。(全2回の1回目/続きを読む)
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踏切は鉄道と道路の「交差点」。一部の例外を除いて鉄道が優先されている。例外を先に紹介すると、都内世田谷区の若林踏切がある。
東急世田谷線と環状七号線(都道318号線)が交わるところだ。ここは交通信号機が設置されていて、電車も信号に従う。法規上の扱いは「踏切」ではなく、路面電車と同じ「併用軌道」となっている。かつては遮断機がある踏切だったけれども、環七の自動車交通量が増えたため交通信号方式になった。自動車は踏切で一時停止する必要があるけれども、ここは「交差点」だから一時停止は必要ない。
ローカル線のなかには1日の運行本数が数本という路線がある。そんな路線の列車に乗っていると、踏切の手前で列車の通過を待つ自動車がある。めったに遮断機が下りない踏切で待たされるなんて、なんて運の悪いドライバーだと同情する。
もっとも、鉄オタの私がドライバーだったら踏切待ちは大歓迎だ。どんな電車が来るのだろう。車両の形式は? 行先は? 運行種別は? とワクワクしながら列車の通過を待つ。
そんな踏切の中でも、特にやっかいな踏切が「開かずの踏切」だ。踏切警報機が作動して遮断機が下りて、列車が通過する。しかし遮断機が上がらず警報器も鳴ったまま。しばらくすると反対方向から列車が通過する。それでも踏切は開かない。また逆方向から列車がやって来て……の繰り返しとなってしまう。



