「開かずの踏切」には定義がある

 国土交通省の基準によると「ピーク時間の遮断時間が1時間あたり40分以上」の踏切を「開かずの踏切」という。等間隔なら「1分開き、2分塞がり」の繰り返しが20回も続く計算だ。2分ならガマンできるけれども、実際は5分以上も遮断される踏切が多い。極論すると、30分連続で遮断されて、ラッシュが終わったあとは1分ずつの遮断が続く場合も考えられる。ひどい踏切は1時間当たり50分、55分も遮断される踏切もある。

開かずの踏切の1つ、京王電鉄京王線の下高井戸5号踏切(桜上水駅横)。国土交通大臣により要改善と指定された(写真ACより)

 ただし、こうした開かずの踏切は設置当初から「開かず」だったわけではない。設置当初は遮断時間が短く、歩行者や自動車が待たされる時間は短かったはずだ。

 そもそも踏切はどんな仕組みだろうか。一般的なものは、踏切の手前に列車の通過を検知する装置があり、そこを列車が通ると警報器のスイッチが入り遮断機が下がる。列車が完全に通過すると遮断機が上がり警報器が停止する。

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列車が検知装置を通過すると踏切警報装置が作動する。検知装置から踏切までは30秒以上必要。検知装置は左右のレールに微弱電流を流し、電車が踏むと車軸を通じて通電する「軌道回路」方式が主流だった。現在は無線を使った方式も増えている(踏切画像:いらすとや)

 国が定めた「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」で、「踏切警報器が鳴り、列車が到達するまでの所要時間は30秒」と定められている。逆算すると、その路線でもっとも速い列車が踏切を通過する時点から、30秒手前の位置に列車の検知装置がある。