JR南武線でワンマン運転を実施したところ、遅延が目立ち、10分以上の遅れが頻発していると報じられた。ワンマン運転はこれまで主にローカル線や路線バスで採用されてきたが、近年は都市部の通勤路線でも採用されている。ちなみに私が9月の日曜日に南武線で稲城長沼駅を訪れた時は遅延していなかった。問題は混雑時に限られるようだ。JR東では、2027年春に京浜東北線や総武線でもワンマン運転を導入する予定だと発表している。
そういえば、10月の平日、19時頃に霞ケ関駅から四ツ谷駅まで東京メトロ丸ノ内線に乗った時は電車が1分ほど遅れた。赤坂見附駅で電車のドアが閉まるタイミングになっても閉まらない。理由は乗客の荷物がドアの外に出ているからだった。「鞄を引いてください」という放送が3回くらいあって、やっとドアが閉まり、電車が発車した。
四ツ谷駅で降りてプラットホームを歩いていると、またしても「鞄を引いてください」という声が聞こえる。赤坂見附駅と同じ声だ。自動音声ではなく、肉声である。プラットホームを歩きながら運転席を眺めると、運転士さんが話している。
丸ノ内線も「ワンマン運転」だ。運転士さんは列車の運転だけではなく、ドアの開閉も、乗客への呼びかけもしなくてはいけない。大変な業務だと思った。同時に、この状態で乗客の安全は担保できるか、ダイヤは乱れないかも心配になる。電車は1分ほど遅れていた。もっとも、この時間帯は2~3分間隔で運行しているので気にならなかったが。
南武線の遅延の直接的な原因は混雑だと思われるけれども、ワンマン運転による安全確認も助長しているかもしれない。安全を期するために、いくつもの装置が作動しているからだ。
ワンマン運転はどのような理由で始まり、どのように安全を担保しているのだろう。
「ワンマン」はバスから始まった
運転手のみで運行し、車掌が乗務しない状態を「ワンマン運転」「ワンマン運行」という。路線バスのほとんどが該当し、地方鉄道もワンマンが普及している。その起源をたどると、戦後の人手不足や、小型車を採用せざるを得なかった路線バス・路面電車、地方鉄道の都合があるようだ。
日本初のワンマンバスは、1951(昭和26)年6月に大阪市交通局が導入した。当時の交通局長が米国のバス事業を視察した結果、経営合理化の一環として無車掌車の運転を計画し、「ワンマンカー」として市民にアピールした(『大阪市交通局五十年史』より)。




