乗客にも「慣れ」が必要なワンマン運転は、普及するのか

 複線トンネルの場合、中央に柱があれば脱線した列車が柱に遮られて、となりの線路にはみ出さない。しかし、柱のない複線トンネルの場合、車掌が確認してほかの列車に警告する必要がある。南北線は列車防護員がいないため、トンネル内には50メートル間隔で検知柱を設置した。なにかが検知柱に接触すると、検知柱が傾いて列車との接触を警告する仕組みだ。

 車内には非常通報装置も設置した。乗客が乗務員に通報するために使う。南北線では運転士が10秒間応答しない場合は指令所と通話できる。

 従来、車掌が乗務していた路線も、上記の機能を追加することでワンマン運転を可能にしている。運転士が車掌の乗務を兼任する代わりに、運転士の本来の業務である「運転」は自動化が進んできた。この技術が発展していくと、完全自動運転、無人運転へとつながっていく。ワンマン運転は無人運転を実現するステップともいえる。

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 一方で、混雑している路線では、安全確認のためドア開閉が遅れるなどの理由で遅延も発生しがちだ。あらかじめワンマン運転に配慮したダイヤ設定が求められる。乗客もワンマン運転を気にかけてスムーズに乗降してほしいところだけど、強制はできないのがなかなか悩ましい。

 ちなみに冒頭の南武線の場合は、列車のドアとホームドアを連携させるシステムを改修して、開閉時間を短縮したという。開閉時間を短縮しても、丸ノ内線のようにドアに鞄がはさまったら、また開閉しなくてはいけない。乗客側も慣れていくしかない。

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