カレーにどれだけカロリーを溶かせるか

 太るための手始めは簡単、グラドル時代のNG事項を片っ端からやればいい。ラーメン、肉(脂身)、揚げ物、クリームたっぷりのケーキ、菓子パン、砂糖入りのジュース。食べる時間は夜がいい。

 ただ、量を食べて太るには限界がある。それを身を持って知った私は、どうしたら効率よく太るかを考えるようになっていた。

 試行錯誤した結果一番太るメニューは、「バター乗せカツカレー」だ。これは太る。しかもちゃんと美味しい。私の努力の結晶である(何に努力してるんだっていう話だけど)。

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 まず、太ろうとするのなら「お腹がいっぱい」という状態をつくってはいけない。噛んだら満腹感を得てしまうから、極力噛まない。

 さらに固形物はどうしてもお腹に溜まるから、なるべく液体に近いものが望ましい。なるべく噛まずに飲み込めて、カロリーも摂れるものといえばカレーだ。「カレーは飲み物」とか言うし、カレーなら私でも“飲める”んじゃないだろうか。

 カレーにはカツを乗せたら揚げ物だし、脂身の多い豚肉を使えばカロリーもアップする。そこでしばらくカツカレーを食べる日を続けたが、肉はお金がかかるし、胃もたれする。一度胃もたれを起こしてしまうと、次の食になかなか手が出ない。これでは太れない。

 揚げ物や肉を毎日大量に摂取するのは非現実的なことがわかったが、油や脂身のカロリーの高さは捨てがたい。……ということは、油を飲めばいいんだ。でも油はそんなにごくごく飲めないしな。

 冷蔵庫を開けて、カレーにトッピングするには何がいいかを考えていた時、チルド室にバターが入っていたのを見つけた。

 これだ!!!

 バターなら、溶かせば液体になる。カロリーだって相当高い。しかもおいしい。

 思い立ったらすぐに試したい私はとりあえず大鍋でカレーをつくり始めた。なるべく液状になるように、ジャガイモも人参も、原型のかけらも残らないほどに煮込むのがポイント。勝負は、その中にどれだけカロリーを溶かせるかがカギ。マズくてはいけない。

 ちゃんと食が進むものじゃないと食べられなくて、太ることもできなくなる。ドライフルーツやナッツ、チーズなど、カロリーや栄養価の高いものを全部粉々にして入れた。まだ足りない、まだ足りない。まだ、足りない。