自分に罰を下す自傷行為
今さら「私はこんなことしたくなかった」なんて言ったら、やってきたことが“間違い”になる。それも耐えられない。わざわざ自分で天から地に落ちるようなことをしておいて、それが間違っていただなんて恥ずかしすぎる。だから、BがAに「これでよかったんだよ」とずっと言い聞かせていた。けれど私は自分に嘘をついていることに耐えきれず、いつしか自分の体を傷つけるようになっていたのだ。自傷行為の一種だと思う。
自ら自分の体に痛みを加えることで嫌いな自分に罰を下し、痛めつけることで生命をギリギリ保っていた。
私はやりたいことがなかったから、「やれ」と言われることがラクだった。試しに飛び込んでみたからこそ居場所が得られたし、人を好きにもなれた。ただ逆に、「逃げる」という選択肢もなかったのは私の弱点だった。同時にいざやってみたら違和感を覚えることもあるということを知った。「目立つために太れ」という指令は、違和感でしかなかった。
それでも激太り生活は“順調”で、姉さんの指示どおり、普段着も全部ゴムでゆるい素材のものに新調した。股ずれが起きて、太ももの内側にあせもができた。お腹は鏡餅のように大きな段ができ、靴や靴下を履くためにかがむのが億劫になった。体力もなくなり、少し歩くだけで息が切れる。階段も10段のぼれば一度休憩が必要だ。
これが自分の人生に「正解」なのかはわからなかったけれど、いちばん近くにいる姉さんに「太って良かったね、太ったから注目されんだよ」と言われると、「ありがとうございます」と言うしかない。
ライブ前には、10kg以上の激太りに成功した。グラドル時代に50kgほどだった体重は、60kgを超えていた。
2010年2月11日 衝撃の激太りライブ
ついにライブの日がやってきた。
ブログ上でさんざん奇行を繰り返していたから、ライブ開催は“虚言”と思った人も多かったと思う。マスコミの間でも「本当にやるのか?」と訝しがる声が多かったようだけど、それは吉祥寺のライブハウス「SHUFFLE」で決行された。
すでにネット上では“暴走キャラ”として認識されていたため、「イベントでも何かやらかすのでは」と記者魂に火がつくネタらしい。当日は会場の前に記者やカメラマンが長い行列をつくり、40人ほど来てくれた観客はそのほとんどがマスコミ関係者だった。
