2010年1月某日 バター乗せカツカレーと嘔吐
カロリーといえば砂糖だから、砂糖を投入すれば抜群に高カロリーになると考え、中辛のルーに砂糖を袋ごとザラザラと投入する方法を編み出した。甘口+砂糖は甘すぎるから中辛。塩と砂糖は半々の量にすると味が0になるという噂を聞いたことがあったから試してみた。仕上げにはレンチンしてドロドロに溶かしたバターをまわしかける。
おいしい。完璧だ、これで太れる。太るというミッションを遂行するために試行錯誤した努力が実った、と思った。
もはや魔女の料理よろしく、毎日毎日両手鍋いっぱいのバター&砂糖入り中辛カレーをつくり、四六時中それを飲んだ。時には贅沢してカツを乗せたら完璧。ご飯は5合炊きの炊飯器で、常に炊けている状態をつくっていた。冷凍庫にも常備し、常に準備は万端だった。
カレーもご飯も何もかも、胃もたれする前に全部食べ終わってしまえばいい。あとは知らない、という勢いで胃の中に流し込んで、胃薬を飲んで、吐きながら食べた。過食嘔吐とはまた違う。単純に体がキャパオーバーで戻してしまうのだ。
食べている間に飲食物が逆流し、「うぷ」とトイレに駆け込むこともしょっちゅうだ。便器を抱きかかえ、おげーと吐いたらついさっき食べたものがそのまま出てきた。カレーということも相まって、見た目にはただの汚物である。
あーあ、せっかく作ったのに。せっかく頑張って食べたのに……。最悪。カレーと胃液のにおいが酸っぱく混ざった、さっきまで自分の胃袋に詰め込まれていたそれを、トイレのレバーを引いて流した。私の労力も下水へと流れていく。
食べたくない、でも食べなきゃいけない。
誰にも言えない本音を抱える小阪由佳Aと姉さんに従順な小阪由佳Bがいて、Bの声が脳内でダークな勢力を大きくする。
あまりにも脂っこいものばかり食べているせいか、肌が荒れに荒れた。荒れて痛くて痒くて掻いて、また痛い。全身が痒い。コンビニのチキンを食べたら、たちどころに荒れたこともあった。
一方で、ストレスによる掻きむしりも自覚していた。小阪由佳Aは「こんなことを望んでるわけじゃない」と思っているんだけど、背後のBは「自分がそれをやるって決めたんだから、そんなこと言っちゃダメ」と主張する。
