2009年、グラビアアイドル・小阪由佳さんが突然の引退を表明した。「ミスマガジン2004」でグランプリを獲得してから、わずか5年後のことだった。その後、開設したブログでは常軌を逸した投稿を繰り返し、2010年に開催したライブではマスコミの前に“激太り姿”で現れた。
華々しい芸能界で活躍していたはずの彼女の心に、一体何が起きていたのか――。現在はタレント活動を続けながら、芸能事務所も代表を務める小阪さんが、自身の“洗脳”体験について綴った『六本木洗脳』(晶文社)より一部を抜粋してお届けする。
占い師の「姉さん」から助言され、10kg増量した小阪さん。世間を騒がせた“激太りライブ”の衝撃の真相とは……。(全4回の2回目/続きを読む)
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壮絶な過食の日々
“マボ”。それは私に姉さんがつけた意味不明なあだ名だ。きっと姉さんは小阪由佳という存在を消したかったし、つながっていることもバレたくなかったんだろう。
姉さんは、ブログを更新している“私”が“なりすまし”だと言われていることが許せなかったことは先に書いた。小阪由佳が本当に激太りして、暴言を吐く。“その姿”をリアルにさらしてやろうと思った姉さんは
「ライブをやろう!!」
最高のアイデアを思いついたかのような満面の笑みで、拒否権のない私に言い放った。
ライブの日程は2010年2月11日。
それまでの間、ますます私は「太れ! まだまだ足りない! もっと太れ!」と檄を飛ばされ、壮絶な過食の日々を強いられた。
太るためにはカロリーを摂取しなくてはならない。グラビア時代、「ラーメンは太るから食べない」と誰かが言っていたのを思い出し、ならば食べれば太るのかと恐る恐るラーメンを食べに行った。人生で初めて家系ラーメンというものを食べたのはこの時だ。
誰とも顔を合わせないように下を向いて、店の少しベタついた引き戸をカラカラと開け、入口のそばにあった食券機で食券を買った。選ぶのはチャーシューや卵などがこれでもかと盛り付けられた、トッピングMAXのラーメンだ。初体験の脂っこさに「うわ、世の中にはこんなに効率よくカロリーを摂れるものがあるんだ」と感動したのを覚えている。
