『3D彼女 リアルガール』(18年)以来、約7年ぶりに英勉監督とタッグを組んだ上白石萌歌。百世渡原作のコミックを実写映画化した『ロマンティック・キラー』で、恋愛拒否系女子高生・星野杏子(ほしの あんず)を演じた。アクション満載のコメディにどう挑んだのか。作品の裏話や、映画への想いも語った。

撮影:山元茂樹

◆◆◆

ゲーム・チョコ・猫が生きがい

──オファーを受けた決め手を教えてください。

ADVERTISEMENT

上白石萌歌(以下、上白石) 近年読んだ脚本の中で一番面白くて、気がつけばこの世界の虜になっていました。原作の面白さはもちろんですが、英(勉)監督の手にかかると、よりコメディ要素が増幅してどんどん続きが読みたくなって。早くこの世界に飛び込みたい、と思ってお受けしました。

撮影:山元茂樹

──「かなり新境地な役柄」とおっしゃっています。上白石さんが演じた星野杏子はどのようなキャラクターですか。

上白石 ゲーム・チョコ・猫が生きがいでそれ以外はいらない、ある意味潔い女子高生です。私も、自分が好きなものや没頭できることがあれば、ほかはなくてもいい性分なので、親近感を覚えました。杏子風に言うなら、「音楽・映画・美味しい食べ物」があれば生きていけます(笑)。

 友達とわいわい過ごす時間も好きですが、もともとすごく人見知りで、気ままに過ごせる一人行動が好きなので、一人でも自分のことを満たせる術は身につけているんです。あえて一人で焼き肉に行くこともあるので、杏子にはすごく共感しました。

©2025「ロマンティック・キラー」製作委員会 ©百世渡/集英社

家に帰ったらすぐにスイッチをオフに

──おひとりの時間を大事にされているのですね。

上白石 私は音楽活動も俳優もしていますが、どちらの活動表現においても、一人で自分と向き合う時間が大事だと思っています。ですから、1日の中でも一人で過ごす時間はなるべく取るよう、意識しています。作品や役柄を引きずることが、ほとんどないのも、家に帰ったらすぐ自分で自分のスイッチをオフにできるからだと思っています。

撮影:山元茂樹

──それだけ共通項があると、役作りもスムーズにできたのでは。

上白石 それが、意外と大変でした。原作のないオリジナル作品の場合は、どういう人が好きで、どんな服を着ているか、など好き勝手に妄想して役に落とし込めます。でも、原作がマンガだと、キャラクターの造形がすでに完成されているぶん、自分の解釈をどこまで入れてよいのかが難しくて。悩みながら、本作の一番のファンとして杏子を演じました。

©2025「ロマンティック・キラー」製作委員会 ©百世渡/集英社