「就職活動をやり直したい」「貧乏人は頭を使わないと」

 アルバイトが急に休んだとか所長が早退したというときは3時間、4時間の早出や残業があるが、大半は削られる。

「時間外労働は毎月30時間近くあるけど、超過勤務手当として支給されるのは10時間が上限だと言われました。明らかに違法行為ですよね」

 月収は28~29万円、手取りで24万円ほどあるが、賞与は半期で15万円なので年収にすると370万円ぐらい。極端に低くはないが、国立大学卒という高学歴に見合ったものとは言い難い。

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「こんなこと言っても無意味だけど、学生時代に戻って就職活動をやり直したい。そしたら安定した公務員やインフラ関連、公共交通関係に進めるようにする」

 今の生活に楽しみや張り合いはまったくない。仕事は楽しくないし、金銭的に恵まれていないから。

「お金のことで言うと、先月の振込額は24万3000円。家賃と水道光熱費、通信費の合計が7万4000円、奨学金の返済が約2万円あるので手元に残るのは約15万円。ギリギリというほどではないけど贅沢はできませんよ」

 先月は奥歯の金冠が取れて歯科医院に5回通ったから1万4000円の出費、インフルエンザにも感染してしまったので内科クリニックに3回通って薬代込みで約6000円の治療費を払うことに。医療費は聖域だと思うが、痛い出費だった。

早川さんの1か月の家計簿(同前)

 こんな状況なので貯金はあまりできない。引っかき集めても200万円がやっとだ。「証券会社から新NISAのパンフレットが送られてきたけど、投資に回せるお金はない。開封しないでゴミ箱に投げ捨てました」

 生活の基本は倹約、倹約、また倹約。日課は閉店間際のスーパー回りで、あちこち行って処分価格に値引きされたものを拾い買いしている。

「アジフライが88円とか鰹の刺身が198円になっているんです、貧乏人は頭を使わないと駄目ですよ。俺は50代の主婦かよ、とときどき思ったりしますけど」