「車なんて走れば一緒」の対極に、唯一無二を求めてやまない改造車マニアたちがいる。終わりなきカスタムに没頭する彼らの目には、一体何が映っているのか?
今回は、210系クラウンをカスタムする石川さんをご紹介。
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自分を形成してきた「つながり」
地元が神奈川の西の方で、VIP系の車に乗っている先輩が多かったんですよね。それで、自分が免許をとる頃に先輩たちのチームに誘ってもらい、最初は170系のクラウンを買って弄りはじめたんです。
それまでは「根っからの車好き」ってわけじゃなかったんですけど、皆で弄ったり集まったりするのが楽しくて。その後もクラウンを乗り継ぎ、また別のチームに入ったりもして、関係を広げている感じですね。
自分は昔から勉強が嫌いで、とくにやりたいこともなく……。中学生の頃は学校にも行かず、夜中まで仲間と遊んでいるようなタイプで。「どうせ高校に行っても卒業できないだろうな」と、中学を出てすぐ建物の塗装工として働きはじめたんですよ。
さすがに中学の先生には止められましたけど、親は「中退するくらいなら最初から行かなくてもいいんじゃない」と。地元の方だと、中卒や高校中退の人はさほど珍しくなかったですしね。
最初に勤めた会社も、高校に行かずに働いている人が結構いて、境遇の似た同級生の間でそこを紹介する、みたいな感じだったんですよ。自分の兄や一個上の先輩もそこで働いていたので、関係性も近く、働きやすい環境でしたね。
それから一度転職していますが、塗装の仕事そのものは中学を出てからずっと続けています。周りと比べて稼ぎも悪くないですし、「高校を出ておけば」とは全然思わないですね。
このクラウンのカスタムには200万円ほどかけていますが、それで生活が苦しくなることもないですし。趣味の格闘技観戦にも定期的に通えていますし、現状にこれといった不満はないんですよね。
ただ、このクラウンは弄るうちに不便な部分も増えてきたので、今年の4月に足用のワゴンRを買ったんです。クラウンに乗っているときに比べると、「後ろの車、やたら車間近いな」みたいなことも増えましたけど、やっぱり普段遣いには便利ですよね。
今はもう、クラウンに乗るのはイベントやミーティングのときくらいで。もちろん、自分にとってクラウンは色んな人とつながるきっかけになる車なので、これからもカスタムは続けていきたいですね。
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