県職員が麻酔の吹き矢を命中させて駆除

 イオン能代店にこの日午前中に侵入したクマは、従業員により家具売り場に追い込まれ、その後、パーテーションで封鎖された家具売り場に立て籠もった。

 警察と従業員は昼までに買い物客と従業員全員を避難させ、スーパー出入り口にも「クマ出没のため営業してません」の張り紙を出し、店内の映画館も含め全店が無期閉店となった。

クマが出没したイオン能代店

 隣接する老舗旧料亭の紅葉の華やかな日本庭園も閉鎖された。クマはこの庭園を通り抜けスーパーに侵入したと見られる。従業員に家具売り場へと追い込まれ、店内に立て籠もっていたクマだが、その2時間後、県職員が麻酔の吹き矢を命中させて駆除したという。

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 現役ハンターとしては吹き矢でクマを駆除した「県職員」の正体や、その麻酔の吹き矢なるものがどんなものなのか、また「麻酔で駆除? どうやるんやろ?」と、興味は尽きないが、なぜか現地ではこれ以上の情報は得られなかった。

訪問時は全店が休業していた(翌17日から営業再開)

公園にまでクマが目撃され、立ち入り禁止に

 翌日からは昨日までの晴天がウソのようにどんより。上空は厚い雲に覆われ、午後には雪も降り始めた。しかも横殴りである。

 秋田の農村部もハンター業界と同様、過疎化、高齢化が進み、畑や庭の柿の木を手入れする農家の人口も減少するばかり。それがまたクマが人里に降りてくる一因ともなっている。

 昨日は鹿角(かづの)市、今朝は秋田市で目撃情報、午後にはお隣り岩手県の岩泉町でクマの親子連れが柿の木の上で立て籠もると、クマはまさに神出鬼没。ただでさえ秋田も岩手も広い。クマ出没情報に振り回されるように出動を重ねて、移動だけで一日が過ぎていく。

農村部を歩く。茂みの奥からクマが飛び出してくるのではないかという緊張が全身を包んだ

 駆除や緊急銃猟に駆り出される猟友会や自治体職員の苦労もしのばれる。県庁所在地の秋田市内、しかも中心部の、燃えるような紅葉の季節の千秋公園にまでクマが目撃され、立ち入り禁止が続いていた。周囲の百貨店やコンビニも、二重扉の外側の自動ドアは軒並み電源が切られ「クマ侵入防止のため」と言葉は若干ちがうものの、張り紙が張られたままである。