美人で頭の回転が早く、どこへ行っても評判の“夜の蝶”
同じ11月7日付の読売新聞(以下、読売)朝刊は「超一流の“夜の蝶”」の中見出しでMの“素顔”を記している。
殺されたМさんは銀座、赤坂のクラブをいくつか渡り歩いたが、美人で頭の回転が早く、しかも接客態度がずば抜けてよく、どこへ行っても評判の“夜の蝶”。昨年11月から銀座8丁目のクラブ「ブラックタイ」に雇われマダムとして勤め、10月5日からは赤坂でレストラン「ロイヤルパレス」を自分で出店し、掛け持ちをしていた。
収入もトップクラスで「ブラックタイ」では日給2万円(同約8万2000円)。その前の赤坂「ニューラテンクォーター」から引き抜かれた時には支度金が500万円(同約2042万円)といわれ、週刊誌やテレビでも騒がれたほど。しかし、今年初めごろ、以前共同経営していたバーの経営権をめぐっていざこざが起こり、共同経営者に毎月60万円(同約245万円)ずつ支払っていた。金繰りは相当苦しく、新しく始めた「ロイヤルパレス」の資金繰りも重なって内情は困っていたようだという。
いつも「勤めるなら一流」「銀座でママになるのが念願」と言い、勝ち気で人間的な丸みに欠けるという声も多かった。「経験がまだ十分でないのに、経営者への道を焦りすぎた」と語るバー関係者もいる。
読売は同じ紙面で「豪語、はったりの『K』 マンションでロウソク暮らし」の見出しでKの一面を書いている。朝日の記事にない点を見るとーー。
「上京して住み込みの店員をしながら、高価すぎる『ニューラテンクォーター』に出入り。昨年3月、当時ホステスだったМさんと知り合った。彼の夜と昼の顔は極端に違うものだった」
被害者Мと加害者Kに共通していたのは、地方から単身“花の都”へ出てきて、夜の世界で一獲千金を夢見たことだろう。いわば同志。それが金のもつれに愛憎も加わって一方が一方を殺害。バラバラにしたうえちりぢりばらばらにして捨てるとは――。華やかな“虚飾の世界”の陰に潜む地獄といえばいいのか……。



