昨年8月、希少がんである乳がん“浸潤性小葉がん”のステージ3であることを公表した、梅宮アンナさん(53)。現在は、母のクラウディアさん(81)と、ときどき米国から帰国する娘の百々果さん(23)、そして今年5月に再婚した世継恭規さんと生活をともにしながら、治療と仕事を両立させている。
今回は2019年に慢性腎不全のために亡くなった父・梅宮辰夫氏(享年81)と娘の百々果さんの幼少期のエピソードや透析を始めてからの関係、“最後のやり取り”について語っていただいた。(全3回の1回目/つづきを読む)
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百々果の父親代わりになったパパ
離婚してシングルマザーになった私と百々果の前に現れたのがパパだった。私たちが辛そうに見えたのか、孫が可愛くてたまらなかったのか、その両方か。祖父ではあったけど、欠けていた父親的な部分を補ってくれていたような気がする。溺愛してくれるのはありがたかったけど、ちょっとレベルがどうかしていた。
「ぢっぢ、タコと遊びたい」
「わかった」
幼い百々果が漏らした一言に、パパはすぐさま反応。
「おい、百々果。タコだぞ」
ぬいぐるみでも買ってきたのかと思ったら、本物のタコだった。
「これ、どうすんの? うちで飼うの? というか、タコって飼えるの?」
百々果は喜んでいたが、私とママはうねるタコにビビりまくり。パパが料理して、みんなで食べたような気もするけど、タコをどうしたかいまいち覚えていない。
ドラえもんみたいに望みのものを出してくれる「ぢっぢ」
「ぢっぢ、金魚すくいしたい」
「わかった」
普通だったら「こんどお祭りでな」と言っておけばよさそうなものだが、秒で請け負ってしまう。
「おい、百々果。金魚すくいするぞ」
数メートル四方の大きな家庭用プールを買ってきて、せっせと膨らませる。そこへ熱帯魚屋さんで買ってきたのであろう、100匹くらいの金魚を放つ。ご丁寧にすくう道具「ポイ」まで用意していた。みんなでキャッキャッ言いながらすくっていたけど、「ちょっと待った。さすがに甘やかしすぎなのでは?」と思った。私もけっこう甘やかされてきたほうだけど、ドラえもんの四次元ポケットみたいにポンポンと望みのものを出してくれるようなことはなかった。
「なんでもかんでも、百々果が欲しがったもの買わないで。それが当たり前だと思っちゃうから」
するとパパは「あ?」って顔をしてから「はは~ん」という顔に。
「おい、アンナ。さてはおまえ、ひがんでんだろ」
と言われてしまった。

