50代になって、人生はさらに充実している

――世界ランキングトップ10入り(最高4位)や、4大大会でベスト8など、数々の“日本人初”記録を打ち立ててきました。

伊達 それで、私の運は全部使い果たしてしまった。そう思っていました。だから30歳を迎える時はすごく恐怖でした。29歳最後の夜はもうどん底にいる気分だった。これからはブルーな日々がつづくのか、って。

一度目の現役時代の伊達公子さん ©文藝春秋

 でも、30歳になっても何も変わらない。マイクに出会い、テニスの世界ツアーにも復帰して、あれ、なんか楽しいぞ、って。40代になってさらに楽しくなり、50代になってさらに充実した人生を送っている。歳を重ねることって、実は幸せの分母が増えることじゃないかって。

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――きっと、100歳になっても生き生きしているんでしょうね。

伊達 私は120歳まで生きるつもりでいますけど、夫には少なくとも100歳を一緒に迎えようね、と話をしています。夫は「そこまで生きられるかな」と笑っていますけど。そのためには健康でいることが一番。

伊達公子さんご夫婦(インスタグラム〔@kimiko.date〕)より

――それで山登りを始めたんですか?

伊達 始めたきっかけは、体の衰えを感じたからですね。もうかつてのようにテニスは出来ないので、長くできるスポーツにシフトしたいと考えたときに、登山はいいかなって。自分の体力に合わせて出来るし、手術した膝のリハビリにもなります。

――パートナーと一緒に?

伊達 彼は仕事が忙しくて何日も休めないんですよ。元々山は好きみたいだけど、一緒に行けるのは年に1回ぐらい。私は年に4~5回登攀し、テントも張ります。夫が行かないときはガイドさんに同行してもらいます。

 でももともと、私はダッシュ系の人間なので登山は向いていないんです。虫も苦手だし、登っているときは胸が苦しいし、なんでこんなことをやっているんだろうと思うけど、黙々と頂点を目指す行動がフィットしますね。必ず頂に辿り着きますし、その時の爽快感は格別です。(つづく)

写真=末永裕樹/文藝春秋

次の記事に続く 「日本と海外の大きな差は…」37歳で現役復帰→46歳で引退した“レジェンド”伊達公子(55)が思う、テニス界が抱える“決定的な課題”

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