全豪、全仏、全英でベスト4に入るなど、世界のトップで活躍したテニスプレーヤーの伊達公子さん(55)。2017年に二度目の現役生活を終え、現在は日本女子テニス界の発展やジュニア育成、さらには環境整備にも注力している。

 日本テニス界が抱える課題や、自身の現役時代を振り返って思うこと、いま描く“最終的な夢”とは?(全4回の4回目/はじめから読む)

伊達公子さん ©末永裕樹/文藝春秋

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――2017年、46歳の時に二度目の引退をされて、現在はテニスのジュニア育成にも情熱を傾けています。

伊達公子さん(以下、伊達) 引退した2年後、2019年からジュニア育成のプロジェクトをスタートさせました。2年周期で計8回のキャンプを行っています。今年から4期生が加わりました。参加者は小学6年から中3までの8人。応募者の中から書類審査や面接、実技テストで選抜しています。本気で世界を目指す女子選手を育てたいんですよね。

世界で戦うためのメンタル面を重視した指導

――具体的にどんな指導をやっているんですか?

伊達 オンコートにおけるテクニック的なこと、フィジカルはもちろん、世界を目指すために必要なイロハです。私たちが当たり前と思っていることでもジュニアには分からないことが多く、それを一つ一つかみ砕いて伝えています。テニス界の世界の動きだったり、組織の仕組みだったり、あるいは流れだったり。世界のジュニアたちはどんな大会に出てどうステップアップしているのか、そして世界で勝つための思考法とか、私の体験や世界の最新情報など織り交ぜ、セミナーで伝えています。

2019年から始まった、グランドスラム出場やプロを目指すジュニア育成プロジェクト「リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」。写真は2025年、長岡市での強化キャンプの様子

――伊達先生は厳しそうですね。

伊達 いやいや、優しいもんですよ。彼女たちはタメ語で喋ってきますし(笑)。これだけ年齢差があると、彼女たちにどこまで響いているのか、本音は分からない部分がありますね。

 基本は世界で戦うまでの道筋とか方法論、メンタル的なことを重要視しています。例えば、試合に入るまでの心の持っていき方、練習に取り組む姿勢などを具体的に話すけど、敢えて細部には触れない。どちらかというと、気づきを与え、自分で考えられるように仕向けています。

 プロになれば自立した考えを持っていないと通用しない。そのための準備をお手伝いするという感じですかね。