駅前広場から西に歩く

 駅前広場のさらに西には、江戸街道という大きな通りが通っている。

 

 すぐ北では国道16号と交差し、西に向かって睦橋通りという大通り。これが拝島のメインストリートなのか。通りの名の通り、西の先では多摩川を睦橋で渡っている。

 

 駅前の商業ゾーンを除けば、大通り沿いにロードサイド系の店がいくつかある以外は、この町はまったくの住宅地だ。

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 駅前のスナックには地元の人が会社帰りに通うのか。ランチ営業の看板を掲げている店もあったし、そこはかとなく地方都市の駅前の香りも入り混じる。

 

 いずれにしても拝島駅は、他の多摩地域の駅と同じように首都・東京のベッドタウンの駅なのである。

 

側溝と見間違いそうな“ナゾの川”

 そんな住宅地の中を西に向かって歩いて路地の中に入ってゆくと、町の中に立派なお社が突如現れた。熊川神社というらしい。

 

 近くには実に歴史のありそうな酒蔵もある。細い路地がクネクネとカーブしながら住宅地の中を抜け、その脇には側溝と見間違いそうな小さな川が流れている。

 

 近くにあった説明書きを読んでみると、熊川分水というらしい。

 江戸時代、水に恵まれずに困っていたこの地域の人々は、玉川上水から分水路を引き入れて水利を得ようと試みた。工事は簡単には終わらず、足かけ100年。

 明治になってようやく完成すると、以後は農業用水から工業用水まで幅広く使われたのだとか。この地域では、農業の他に酒造や製糸業が盛んになったという。